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2009年10月

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『ヤマタイカ』の原型でもある『ヤマトの火』。

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おすすめ■風雲ライオン丸(初版)/一峰大二・うしおそうじ

 
 
秋田サンデーコミックス版『風雲ライオン丸』。超レア。

おすすめ■灰になる少年/ジョージ秋山

 
 
この作品がジョージ秋山の代表作といってもいいほどのインパクト!

おすすめ■淫虐の天使/清水おさむ

 
 
清水おさむの数少ない単行本のひとつ。

おすすめ■娼婦マリー・全2巻/村祖俊一

 
 
村祖俊一の代表作。

おすすめ■黒の天使・全3巻/石井 隆

 
 
石井 隆が描く黒いヒロイン。

おすすめ■家畜人ヤプー/江川達也・沼 正三

 
 
伝説的な原作小説をコミカライズ!

おすすめ■がきデカ・全巻/山上たつひこ

 
 
この作品がギャグ漫画を変えた、とも言われた70年代を代表する作品。

おすすめ■恐怖新聞/つのだじろう

 
 
70年代オカルトブームのまっただなかで「少年チャンピオン」に連載されたつのだじろうの代表作。

おすすめ■鉄腕アトム/手塚治虫

 
 
ハリウッドCG版映画も公開されますが…原作をもう一度読んでみませんか?

おすすめ■西遊妖猿伝・大東篇全巻+西域篇1/諸星大二郎

 
 
諸星大二郎のライフワーク。

おすすめ■ゴルゴ13・1~154巻/さいとう・たかを

 
 
日本で最も有名な劇画を全巻セットで。

おすすめ■金魚屋古書店・1~9巻/芳崎せいむ

 
 
懐漫マニアに捧ぐ。

おすすめ■GANTZ・1~26巻/奥 浩哉

 
 
 
 
 
 
先日、実写版映画化の発表もあった、読み出したら止まらない作品。

おすすめ■藤子・F・不二雄大全集・6点セット

 
 
これまでの単行本には未収録のエピソードも網羅した決定版全集。

おすすめ■倉田江美傑作集・全3巻

 
『倉多江美傑作集』全3冊
『倉多江美傑作集』全3冊
価格:2,500円(税込)
 

おすすめ■妖怪世界遺産/水木しげる妖怪原画大全集

 
 

おすすめ■ドラネコロック・全3巻/鴨川つばめ

 
 
鴨川つばめ、もうひとつの代表作。

おすすめ■アパッチ野球軍/梅本さちお・花登筐

アニメ化もされた異色の野球スポコンドラマ。

おすすめ■オーバーマン キングゲイナー・全巻/中村 嘉宏

 
 
アニメ版のキャラクター設定にも関わった著者による、コミカライズ。

おすすめ■同棲時代・全6巻(初版)/上村一夫

 
 
上村一夫の代表作であり、大傑作。 単行本としてはこれが最初のものであり、かなりの回数、増刷・再販されたので初版を見つけるのはかなり困難。 ただし2、3のエピソードが未収録。

おすすめ■ハンティング・ドッグ/谷口ジロー

 
 
谷口ジローのSFハードボイルド劇画。 けっこうレアな一冊。

本棚の旅■隣室の男/松本正彦「駒画」作品集

書 名/隣室の男
著者名/松本正彦
出版元/小学館クリエイティブ(発売・小学館)
判 型/A5版
定 価/3619円(本体)
シリーズ名/なし
初版発行日/2009年6月17日
収録作品/「劇画バカたち !! 第1話」ビッグコミック増刊1979年2月23日号
     「隣室の男」影1号1956年3月、「濃霧」影2号1956年4月
     「不知火村事件」影7号1956年9月
     「猫と機関車」影9号1956年11月
     「天狗岩の怪」街2号1957年4月
     「灯台島の怪」鍵1号 1957年6月
     「夕立」街6号1957年6月
     「友ありて」熱血男児1号1958年2月
     「指紋」街・別冊怪奇特集1958年3月
     「京介誕生記」影32号1959年5月
     「広い天の下」熱血男児13号1959年5月
     「どくろに頼む」迷路・別冊怪談ミステリー特集1959年7月
     「ある殺人」街35号 1959年12月
     「重たい影」影40号1959年12月
     「裏窓」辰巳ヨシヒロマンガジン3号1960年3月
     「涙を売る男」影45号1960年3月
     「どこかへ…」別冊土曜漫画コミック1973・10・26号

 劇画生誕50周年を記念していくつか出版されたもののひとつが本書である。と同時に、劇画誕生前夜に「駒画」という、それまでの漫画にはなかった表現手法を追求した松本正彦という作家の、作品と友人・知人へのインタビュー等で構成された「研究本」という印象が強い一冊でもある。
 自分は貸本漫画のブームが終わり、漫画の単行本が新書判に変わったころからの漫画読みなので、リアルタイムで貸本漫画を読んではいない。したがって、松本正彦の作品に触れる機会はなかったといってもいいくらい、接点がなかった。
 また、松本が自作のスタイルとして掲げた「駒画」というものも、漫画史、劇画史的な資料でその言葉を知っただけで、実際の作品を読む機会がなかった。
 本書は、そんな松本作品に触れる機会のなかった読者にとってもかっこうの作品集といえるが、なによりも「駒画」そして「劇画」という漫画史のエポックとなった表現スタイルを知ることができる資料として重要なものだといえるだろう。
 とはいえ、現在の視点…いや、貸本漫画の時代にリアルタイムでそれらの作品を読めなかった世代にとってはその新鮮さは薄れてしまうのは否めないかもしれない。それは松本自身が語ってもいる。
「駒画」そして「劇画」が漫画に取り込んでいった表現スタイルは、その後貸本漫画からマンガ雑誌の作品へと受け継がれていき、繊細な心理描写などは当たり前のように描かれていったのだから、はじめからそういった作品を当然のように読んできた世代には、「駒画」や「劇画」が誕生したころの新鮮さや斬新さを理解するのはむずかしいのは当然かもしれない。
 先にも述べたように、自分自身がそういう世代なので『隣室の男』など、松本がいままでにない表現スタイルを確立しようと作品に取り組んでいた時代の作品は、あまりピンと来なかったというのが正直な感想だ。むしろ今回一番最後に収録されている『どこかへ…』のような作品の方が読みやすいし味わいを感じてしまう(この作品はその他の収録作品とはタッチも違っており、西岸良平や滝田ゆうに印象が近い)。
 とはいえ、なんでもない日常もちょっと視点を変えるとドラマティックな展開になるという、それまでの漫画とは違ったアイデアの消化の仕方など、現在の漫画文化につながっていく原点のようなものが、この作品集から読み取ることもできる。

 

おすすめ■こまっチャーム スィートちゃん/永井 豪

 
 
永井 豪、初期のギャグ短編集。同時期同じコミックメイトで刊行された『ヤダモン』『パンジーちゃん』はほかの版での収録、復刊もあるのだが、ここに収録された作品はなかなかその機会がない。かなりレアな1冊。

おすすめ■ドロロンえん魔くん・全3巻/永井 豪

 
 
 若木書房コミョクメイト版『ドロロンえん魔くん』全3巻。これが最初の単行本だが、カバーが弱く、キレイなものはなかなか見つからない(新刊でもそうだった)。

おすすめ■月夜見/近藤ようこ

 
 
近藤ようこ、最初の単行本。

■憂国/いしかわじゅん

初出:漫画エロジェニカ
書誌:けいせいコミックス

 70年代の終わりから80年代の始め、三流劇画またはエロ劇画と呼ばれたジャンルが注目され、活況を呈した時期があった。そのころ、三大エロ劇画誌と呼ばれたうちのひとつ「エロジェニカ」に連載されたのが『憂国』である。
 言っておくが、これはエロい漫画ではない。コミカルな表現だが、かなりシリアスなストーリー作品である。もしかすると、いしかわじゅんがストーリーものに手を染めた最初の作品だったかもしれない。
 日本に革命を起こそうとする勢力と、それを未然に防ごうとする国家権力との駆け引きと闘争を、コミカルかつダイナミックに描いてしまった傑作なのだ。
 いしかわはのちに「ヤングマガジン」で『約束の地』という同じようにコミカルかつシリアスな作品を発表するが、『憂国』を下敷きにした作品であることは間違いない。

 いしかわじゅんの作品では『蘭丸ロック』『ちゃんどら』『パンクドラゴン』といったギャグ作品が好きなのだが、ストーリーものでは、この『憂国』、めんこを題材にした『メンカー』といったところが、実にいい。
 いしかわ作品もなかなか再刊されないのが残念である。

■魔神ガロン/手塚治虫

初出:冒険王(秋田書店)
書誌:秋田書店/1巻
    秋田サンデーコミックス/全1巻
    手塚治虫漫画全集(講談社)/全5巻
    秋田文庫/全3巻

 手塚治虫の作品を最初に読んだのは、秋田サンデーコミックス版の『魔神ガロン』だったのではないかと思う。
 もちろん『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』といったテレビアニメは見ていたし、手塚の名前は知っていたが、まとまった形で作品を読むといったことはそれまでなかったように記憶する。
 ガロンは、宇宙人によって地球に送られ、地球人がガロンをどう扱うかによって、宇宙から迎えられる存在であるかを問われるのだが、地球の科学をはるかに超えた能力を持つガロンを、ある時は恐れ、ある時は悪事に利用しようとする人々に、バラバラにされて送られたガロンを組み立てた科学者、敷島博士と、ガロンの頭脳である、ピックという、少年の姿をしたアンドロイドと兄弟として育ったケン一少年は苦悩する。

 当初刊行されたハードカバー版の単行本は1巻のみで、続巻は未刊行。そのあとに出された秋田サンデーコミックス版も全1巻として刊行され、全体の半分も収録されなかった。のちに、手塚の死後になって刊行された全集版で、3~5巻がようやく刊行された。
 当初は、後半で日本を飛び出し世界を舞台にしたことで、人種差別的な表現が含まれていて刊行できないのだとか、まことしやかな噂も流れていたが、実際は、3~5巻を見れば明らかなように、明らかに手塚自身のペンではない、稚拙な絵が多く、作品の完成度の問題から、生前には手塚自身が刊行を拒んだものと思われる。ストーリーの面でも、世界を舞台にしてスケールは大きくなったものの、迷走している感も否めない。結果的に秋田サンデーコミックス版の全1巻が、もっともまとまった形になっていたようである。
 そんなこともあってか、手塚は「ガロン」というキャラクターをなんとか活かそうとしたのか『マグマ大使』や『鉄腕アトム』にも「ガロン」として登場させている。また実写特撮作品としても企画されたことがあり、パイロットフィルムが確認されている。

■魔王ダンテ/永井 豪

初出:ぼくらマガジン
書誌:サンコミックス/全3巻
    ソノラマ文庫/全3巻
    サンワイドコミックス/全2巻
    講談社コミックス/全3巻

 永井 豪の単行本はこの『魔王ダンテ』の1巻か『デビルマン』の1巻あたりが、最初に買ったものではなかったかと思う。
 もっとも「ぼくらマガジン」はときどき読んでいたので、断片的には『魔王ダンテ』も読んでいたはずなのだが、記憶の中では同誌に連載していた『ガクエン退屈男』の方が印象が強い。

 悪魔が現代に復活し、人間社会を破壊しようというストーリーは『デビルマン』のようだが、実はその悪魔が、古代に宇宙人の侵略を受けて、特殊な能力を持つに至った、本当の人類である、という設定。残念ながら掲載誌の休刊に伴い未完となってしまった(のちに「マガジンZ」誌上でリメイクされた)。

『デビルマン』はまぎれもなく漫画史に残る名作であり、多くの読者を得ているが、その原型である『魔王ダンテ』も、同時に読んでもらいたい作品である。

おすすめ■愛怨情夜/つつみ進

 
『愛怨情夜』 つつみ進
『愛怨情夜』 つつみ進
価格:1,000円(税込)
 
つつみ進、最初の単行本。

■デビルマン/蛭田 充(原作・永井 豪)

初出:冒険王(秋田書店)
書誌:秋田サンデーコミックス/全2巻
    ナガオカコミックス/全3巻
    スターコミックス/全2巻
    ATCW(秋田トップコミックスワイド)/全1巻

『デビルマン』は永井 豪の代表作のひとつであり、本作はそのアニメ化に伴ったコミカライズ版である。
 蛭田 充によってコミカライズされたが、アニメ作品をベースにしながら、原作の要素も取り入れつつ、オリジナルな要素もある、独特の位置を占めている。
 まず主人公であるデビルマンの設定である。原作では、人間・不動 明が、悪魔デビルマンと合体し、意識はそのままで、悪魔の強靱な肉体と超能力を手に入れる。一方アニメでは、悪魔デビルマンは、人間界に侵入するために、不動 明の身体に乗り移り、利用するだけで、意識はデビルマンのままである。蛭田は原作に沿って、不動 明の意識を残した。
 原作の連載と、アニメの制作がほぼ同時進行だったため、その内容は著しく違っているが、アニメ版を漫画で読むという意味では、蛭田版『デビルマン』となる。
 内容は、ほぼアニメ版のストーリーに沿っているが、後半登場する「ララ」などは描かれず、明とミキ(原作では美樹だが、蛭田版ではカタカナ表記)、そしてデビルマンと妖獣のバトルに的を絞っている。また、妖獣はアニメの設定に忠実に描かれている印象があるが、デビルマンや主要なキャラクターはわりと自由に描いているように感じられる。

 ところで、この作品は過去に何度か単行本化されてきたわけだが、ナガオカコミックスで刊行されたものは中でも稀少だ。その存在自体あまり知られていないと思う。

 
 

■猫目小僧/楳図かずお

初出:少年画報(不死身の男(恐怖の再生人間・改題)、みにくい悪魔)
   少年キング(妖怪水まねき、大台の一本足、妖怪百人会(小人ののろい・改題)、妖怪肉玉、妖怪千手観音)
   少年サンデー(階段、ともだち、手、約束)
書誌:キングコミックス:全3巻
    少年サンデーコミックス:全5巻
    サンコミックス:全5巻
    サンワイドコミックス:全3巻
    小学館SVコミックス:全2巻
    UMEZU PERFECTION!:全2巻

『猫目小僧』は楳図かずおの代表作のひとつである。
 水木しげるの『墓場の鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』がヒットすると共に、妖怪を主人公にした一種のヒーロー作品がいくつか登場する(ムロタニ・ツネ象『地獄くん』、井上 智『妖怪小僧』など)が、この『猫目小僧』もそのような流れで誕生したのではないかと考えられる。少なくとも「少年キング」連載中は、妖怪退治をするヒーローと見えなくもない。
 しかしその前身である「少年画報」版では、のちの『おろち』にも通じる、物語の進行役ともいえるような、日常をそっとのぞく、読者、または作者の分身のような存在という印象がある。逆に言えば、そのようスタンスを「少年キング」に移行することで、継続できなくなったことが、『おろち』につながっていくのではないだろうか(『おろち』の連載開始は「少年キング」連載の後半に当たる)。「少年キング」連載終了後数年して、テレビアニメ化されたのに合わせて「少年サンデー」に散発的に発表された短編が、やはり『おろち』的な内容だったことからも、その思いを強くする。
 猫目小僧と呼ばれる主人公は、妖怪猫またと人間の女性とのあいだに生まれた、半妖・半人である。作品上、これといった超能力は、猫などと話ができたり、ほかの人物に化けたりするなどのほかには、あまり発揮されないが、生命力はかなり強いようだ。
 一方、猫目小僧が対峙する妖怪たちといえば、「妖怪百人会」に代表されるように、人間でありながら、憎しみの強い心が超能力を発揮するなど、怪物的ではあっても、いわゆる「妖怪」とは言い切れない場合が多い。これは楳図かずおのほかの作品にも通じるものだろう。
 
 ところで、猫目小僧の髪は、黒ベタで塗りつぶされたものではなく、おろち同様、線で描かれている。しかし今回刊行された「UMEZU PERFECTION!」に収録された「少年画報」の連載開始前の予告カットを見ると、髪が黒いのだ。キャラクターとしても、目が猫的な人間の少年といった雰囲気。「猫またの子供」というのは「少年キング」連載時に付け足された印象もあるのだが、作者の中で、当初、猫目小僧というキャラクターがどのように考えられていたのか、興味深い。

■忍者街道/白土三平

初出:貸本(1959年)
書誌:日本漫画社(全2巻)
     小学館クリエイティブ(全2巻・復刻版)

 デビュー作「こがらし剣士」に続いて刊行された初期貸本作品のひとつ。
 忍者達が歩む闇の人生を道になぞらえ「忍者街道」というタイトルにした、と作者は最初に語っている。
 5編の独立した短編からなるもので、第1話「忍者対決」では、忍者の生き方について早くも触れ、主人公は忍者を捨てて生きる決心をする。すでに「カムイ伝」に通じる世界観が見えているようにも思う。
 作品が発表された1959年ごろといえば、まだ忍術も幻術もごちゃ混ぜのような印象が強かったのではないかと思うが、白土はそれは体術であり、厳しい訓練(修行)の成果であることを強調している。
 小学館クリエイティブ版の解説では、白土が当時はやり始めていた「劇画」とは違う形でリアリズムを追求し始めていたとあるが、その後「劇画」と同一視されていくとはいえ、確かに白土作品はいわゆる「劇画」とは違ったアプローチをしていたのだと思う。派手な忍術合戦を見せる「忍術マンガ」から、厳しい掟に縛られ無情に死んでいく「忍者マンガ」というものに変えて行ったのはその表れだろう。
 

■虹をよぶ拳/つのだじろう・梶原一騎

初出:冒険王(秋田書店) 1969年6月号~71年6月号
書誌:秋田サンデーコミックス(全7巻)
    マンガショップシリーズ(全4巻)

『空手バカ一代』以前に描かれた、同じコンビによる空手マンガ。都会から地方都市に引っ越してきた、勉強はできるが運動はまるでダメ、という主人公が、級友が空手を使って強盗を倒す場面を目の当たりにして、自分も空手を始めるというもの。
 もちろん梶原作品ですから、これでもかってくらいに飛躍した展開もあります(北海道の山奥で奴隷のように働かされちゃうとか、中学生なのに、空手の腕を見込まれてナイトクラブの用心棒になっちゃったり)。
 つのだのペンは、マンガと劇画の中間でうまくバランスを取っている感じで、軽くもなく重くもない。敢えていうなら、この作品がもっともシャープな印象すら受ける。
 たしか「秋田サンデーコミックス」では、4冊ほどがまず出、しばらく間が空いてから残りの巻が出たように記憶する。それも現在では入手困難な状況だったので、「マンガショップ」からの復刊は喜ばしい。
 それにしても、タイトルのような明るい雰囲気は最後までなかったなあ(笑)。

おすすめ■縄処女/椋 陽児

 
『縄処女』 椋陽児
『縄処女』 椋陽児
価格:5,000円(税込)
 
超レア! 

おすすめ■堕天使画集/ダーティー松本

 
 
ダーティー松本の代表的なシリーズ作品。レア!

■天人唐草/山岸凉子

・初出:週刊少女コミック '79年2号
・書誌:サンコミックス
     白泉社版作品集
     角川書店版作品集
     文春文庫

 最初に「山岸凉子」という漫画家を知ったのはいつだったろう。
 たぶん『妖精王』の連載中で、それが話題となっていたころだったと思う。その当時も少女漫画は多少読んでいたが、『妖精王』を手にすることはなく、時間が過ぎていき、『天人唐草』でその魅力を知ることになる。
 とはいっても、雑誌掲載時にリアルタイムで読んだのではなく、単行本になってからなのだが…。
 当時は、例えば倉田江美の『エスの解放』だったり、高野文子の一連の作品だったりが、少女漫画というジャンルを越えて話題になっていて、『天人唐草』もそのような作品のひとつだった。
 厳格な父をもつ少女が、その家庭環境ゆえに社会から逸脱していくというストーリーは、従来の少女漫画とはまったく異質な物語だ。
『天人唐草』の数年前に、竹宮恵子が『風と木の詩』によって、いまで言うボーイズラブがジャンルとして確立するキッカケを作っていたが、同性同士の恋愛という点をのぞけば、それは少女漫画のルールの上にある物語だ。
『天人唐草』が発表された前後に、少女漫画という枠を外れて文学的なアプローチを示した作品が多く発表されたのは、「時代」なのだろうか。
 事実その後、漫画はよりそのマーケットを拡大し、その内容も多様化し、文学を押し退けて、広く大衆に読まれるメディアになっていった。現在の漫画の発展と成功を、『天人唐草』は暗示する作品だったといってもいいのではないだろうか。
 山岸凉子はその後も、神話に題材を採り、人間の精神性を追求した短編を発表していき、『日出処の天子』で大ブレイクする。
 硬質で繊細な線、妖しい魅力を持ったキャラクター、それらは、逆に言えば『アラベスク』など少女漫画のルール上にある作品より、『天人唐草』や『日出処の天子』など、性別や年代を意識しない読者に向けた作品に向いていたのだろう。
 

本棚の旅■地獄の水/水木しげる

書 名/地獄の水
著者名/水木しげる
出版元/小学館クリエイティブ
判 型/四六版
定 価/1900円+税
シリーズ名/復刻名作漫画シリーズ(ただし本書にはこの表記はない)
初版発行日/2008年8月26日
収録作品/地獄の水

 この作品ものちにリメイクされたもののひとつだ。
 特筆すべきは、やはり主人公の父親が地獄の水によって体が溶けてしまい、目玉だけになり、その目玉に小さな体がついている、鬼太郎の目玉おやじ状態になっている点だろう。
 さらには鬼太郎の原型(絵柄的に)とも思えるキャラクターも登場している。
 ストーリー自体は神秘的なものだが街を破壊したり人間を飲み込んで溶かしたりと、スペクタクルな展開も見られる。
 本書はオリジナル版では東真一郎名義で刊行された。

本棚の旅■弾丸トップ/桑田次郎

書本 名/弾丸トップ
著者名/桑田次郎
出版元/パンローリング
判 型/B6判
定 価/1800円+税
シリーズ名/マンガショップシリーズ
初版発行日/2008年4月2日
収録作品/弾丸トップ・ぼくら(講談社)1958年1月号~12月号
          朝は死んでいた・週刊少年キング(少年画報社)1973年3号
          地底にうごめく・ビッグマガジン(秋田書店)1970年No.3

『弾丸トップ』のタイトルで連載された作品を完全収録したもの。とはいえトップというロボットが登場する作品はこれ以前にもあり、改めて連載作品として発表されたようなので、今回収録された原稿では、トップというロボットやその生みの親(?)である東博士とその息子たけしなどについて読者にとくに説明はなされていない。
 空に浮かぶ要塞のような「島」を基地に世界征服を企む「空魔Z」、海底基地から世界征服をもくろむ「海底魔城」のサタンXなど、どことなく『ナショナルキッド』を彷彿とさせる悪役が登場している。また最後のエピソードになる「夜行怪人」は、同じ桑田次郎の『キングロボ』のアイデアに通じているようであるし、人魂のような宇宙生物が乗り移るロボットは『8マン』に登場する007にも似ている。
 この単行本では、帯やカバー裏表紙の解説で「桑田次郎版『鉄腕アトム』」と触れ込んでいるが、確かに少年の姿をした知能を持ったロボットという点では類似点はあるものの、それを言ってしまったら同じような作品はたくさんありそうな気がする。むしろこの作品ではトップというロボットの活躍以上に、東博士やたけし少年が活躍しているということに注目してもいいのではないだろうか。
 同時収録の短編2作は、桑田次郎が一番絵的に乗っていたと思える70年代の作品。とくに『朝は死んでいた』は『デスハンター』と同時期でもあり、これまで未収録だったのが惜しまれる。内容は石ノ森章太郎的なホラーSFといったところか。『地底にうごめく』は秘境もののホラーSF。こちらは桑田の『大秘境』などに印象が似ていた。
 

おすすめ■内田善美傑作集

 
『内田善美傑作集』全2巻
『内田善美傑作集』全2巻
価格:6,000円(税込)
 
内田善美、りぼん時代の短編集。

おすすめ■美少女狩り/椋 陽児

『美少女狩り』 椋陽児
『美少女狩り』 椋陽児
価格:6,500円(税込)

椋 陽児の劇画短編集。レアです。

本棚の旅■大和小伝/さいとう・たかを

書 名/大和小伝
著者名/さいとう・たかを
出版元/小学館クリエイティブ
判 型/B6判
定 価/1500円+税
シリーズ名/復刻名作漫画シリーズ(ただし本書にはこの表記はない)
初版発行日/2009年8月8日
収録作品/剣法無双、蒼雪、右うでを切る、修羅外道、助勢

 さいとうプロで制作・出版された貸本シリーズから5編を収録した一冊。ストーリー上のつながりはなく、時代劇の読み切り短編シリーズというものである。
 これらの作品は『無用ノ介』『影狩り』といったさいとう・たかをの代表的な時代劇画が描かれる以前のものであり、また初出が貸本ということもあってか多少描きとばしている印象がないわけではない。
 とはいえこの当時からさいとう作品は読みやすく、ストーリーや構成もしっかりしているのがわかる。
 すでにプロダクション制になっていて、各作品のタイトルページには「作・構成/さいとう・たかを」という表記も見られる。
 現在もリイド社を中心にして自作品は自分の目の届く範囲で出版しているという感じのするさいとう・たかをなので、特定の作品は装丁を変え形を変えて出版が繰り返されているが、貸本時代の作品になると日の目を見ないものが多いのが残念だ。
 

おすすめ■戦えナム/ジョージ秋山

ジョージ秋山の作品中では、現在入手が困難な作品のひとつ。

おすすめ■雨/樹村みのり

 
 

樹村みのりの短編集。このひとはそろそろ再評価されてもいいのでは?

■事件屋家業/谷口ジロー・関川夏央

初出:漫画ギャング(1979年12月号~1980年4月号)
書誌:アクションコミックス/B6判
                    A5判(全1巻)
                    A5判(全6巻/新事件屋家業含む)

 そのころ、それまで読んでいたジャンル以外にも読んでみたいという気持ちが高まり、まずは劇画を、と古本屋で入手したのがこの『事件屋家業』と松森 正の『恐怖への招待』だった。
 結果的にこのときの選択が正しかったのか、谷口も松森も、以後ずっと好きな作家である。

 物語は、タイトルからも推察できる通り探偵を主人公にしたハードボイルド。とはいってもカッコよくも、イカしているわけでもない中年探偵だ。
 個人的には同時期にFMで放送されていたラジオドラマ『マンハッタン・オプ(矢作俊彦作)』と印象がダブる。というのも、放送後単行本として刊行されたこの作品の挿絵を担当しているのが、谷口ジローなのだ。

 のちに「漫画ゴラク」で『新事件屋家業』として連載が再開されるなど、作品の人気は意外と高かったようだ。
 ちなみに主人公の深町丈太郎というキャラクターは、同じコンビの『無防備都市』という作品にも、新人刑事として登場している。同一人物という設定ではないようだが、興味深い。

おすすめ■サチコの幸/上村一夫

 
 
上村一夫が『同棲時代』に続いて発表した代表作。

おすすめ■おんな教師/上村一夫・真樹日佐夫

 
 
上村一夫作品の中では入手困難なもののひとつ。

おすすめ■夢化粧/上村一夫・矢島正雄

 
 
上村一夫、晩年の傑作。

■四次元世界/松本零士

初出:COM、その他
書誌:小学館文庫(旧)/全2巻
    小学館文庫(現)/全1巻

 松本零士の作品をまとまった形で読んだのは、もしかしたら『宇宙戦艦ヤマト』だったかもしれない。そのあとくらいに『ワダチ』、いや『大不倫伝』だったか…。
 雑誌をあまり読まず、単行本になってからじっくり、ということを昔から続けているので、作家や作品との出会いにタイムラグが発生する。『~ヤマト』のころには、松本零士の名前や『男おいどん』などの作品名は知っていたが、読んでいなかったのである。

 読み始めるとけっこうハマッて、単行本を集めたりもした。ちょうど『~ヤマト』や『銀河鉄道999』ブームもあり、過去の作品が相次いで単行本にもなっていた時期である。
『四次元世界』はその頃に刊行された、初期の短編集だ。もともと『四次元世界』というタイトル、シリーズではないものだが、単行本化にあたり『四次元世界』としてまとめられたというもののようだ。
 内容としては、SF風ファンタジーという系統のものが多く、作者得意の昆虫ものや戦闘機が登場するものも多い。また、センチメンタルでアイロニー色が濃い作品も目立つ。

 正直言って、『~ヤマト』以後の松本作品より、この初期の作品集の方が、読んでいて印象に残るものが多いような気がする。また、以後の作品の元になっていると思われる短編もあり、興味深い。
 アナタがもし、これから松本作品を読もうと思っているのなら、もしくは『~ヤマト』や『宇宙海賊キャプテンハーロック』、『~999』しか読んだことがないのであれば、ぜひ読んでほしい短編集だ。

■光束エスパー/あさのりじ

初出:少年
書誌:マンガショップシリーズ/全1巻

『光束エスパー』も、その作品そのものよりタイトルの知名度が先行している印象がある。「東芝」のマスコットキャラクターとして、電器店のシャッターにあさのりじ版のエスパーが描かれていた時期もある。その後、テレビドラマ化に伴い、松本零士がキャラクターだけを継承してオリジナルのストーリーを連載し、こちらはあさのりじ版より早い段階で単行本化された。

 あさのりじ版は、みのり書房の「ランデブーコミック」で一部が再掲載されたほかは、初出以来埋もれた形になっていたが、マンガショップシリーズですべてが収録された。
 強化服によって、人間以上の力を発揮するという設定は、現在でも充分通用するアイデアではないだろうか。

■劇画漂流/辰巳ヨシヒロ

初出:まんだらけマンガ目録8号(1995年3月)~まんだらけZENBU33号(2006年12月)
書誌:青林工藝社・上下巻

 ひと言で言ってしまえば、これは辰巳ヨシヒロの自伝作品である。が、同時に漫画史における劇画誕生の記録であり、大阪を中心とした貸本マンガ史とも言える。
 それまで子供が読むものとして「漫画」という呼称でひとくくりにされていた自分の作品を、青年層が好んで手を延ばすような内容や表現であることから、自ら「劇画」と呼ぶことにして活動していた辰巳ヨシヒロと、彼の考えに同調して集まった仲間たちによる「劇画工房」については、たとえば佐藤まさあきの自伝『「劇画」の星をめざして』や辰巳の実兄・桜井昌一の『僕は劇画の仕掛け人だった』等でも知ることは出来るが、その中心にいた辰巳の証言という意味で本作は意味があるだろう。また、劇画発祥の舞台となった貸本マンガについてはあまり資料がなく、その意味においても貴重な作品といえる。
 正直なところ辰巳ヨシヒロの作品はあまり読んでいない。小学館文庫(旧)で出た『鳥葬』を、刊行からだいぶ経ってから読んだのが最初だし、貸本時代の作品となると青林工藝社でから復刻された『大発掘』や『大発見』などに収録されたものくらいだ。またその他の作品というと秋田書店から出た『乾いた季節』といったところか。
 個人的な印象で言うと、さいとうたかをなどの劇画作品よりも漫画的な感じを受けた。理由としてはさいとうたかをなどの作品よりもキャラクターが漫画チックというのがあるかもしれない。が、この『劇画漂流』でも語られているように、自らの作品を「劇画」と呼ぶのは絵的なリアルさということではない。作品のテーマや演出面での、それまでの「漫画」とは違った表現を追求した結果なのである。
「劇画」が貸本マンガから育ってきたというのには理由があると思う。ひとつには雑誌に発表される作品より編集者の作品の内容に関する締めつけが緩かったことがあるだろう。ひと言でいえば雑誌よりも自由に作品が描けたということだ。本作中、新しい表現を模索していく姿が描かれているが、ライバルともいえる同業漫画家の作品に刺激されたりしながらも、その過程で作品や表現について意見を闘わせるのは主に兄とであり、編集者と作品について語ったり論じ合ったりしているシーンが見られないのも、当時の貸本出版社がそれほど内容にこだわっていなかったことをうかがわせる。
 あとがきや解説を読むと掲載誌側の事情で連載が終了したとのこと。作品として終わっていないということではないが、実質未完といえなくもない。「劇画工房」から離れ、「劇画」というものに熱意を失くした主人公が、またその熱意を取り戻すところで終了しているが、その後の貸本マンガの終焉、青年マンガ雑誌の誕生あたりまで続いてくれるとさらに漫画史的に興味深い資料となったのではないかと残念ではある。
 

■空の色ににている/内田善美

 初出:ぶ~け 昭和55年8月号~11月号
 書誌:ぶ~けコミックス

 現在では伝説の漫画家扱いの内田善美の代表作である。
 基本的に単行本で作品を追いかける自分としては、珍しく連載時から読んでいた。4回の短期集中連載ということで、1回のページ数も多く、密度の濃い連載だった。これが、作者、初めての連載だというのだから驚かされる。
 もちろん内田は、その当時新人作家ではなかったし、実力も知られていたのだが、その人気はマンガよりもイラストにあったといってもよかっただろう。しかし、この作品によって、内田は間違いなく、漫画家としても人気作家となった。
 主人公は、入学したばかりの男子高校生。図書館で本を借りると、自分より先に決まって同じ本を借りている女子生徒がいることに気づく。
 彼女に急激に惹かれていく主人公だが、彼女には、心ひかれる先輩がいる。奇妙な三角関係は、不思議と心落ち着く環境でもあった。
 長距離ランナーとして、その実力を発揮していく主人公。地方都市の高校を舞台とした、まさに青春ストーリーである。

 内田善美の魅力は、なんといってもその画力にあるだろう。イラストレーターとしても評価されるゆえんである。ともすれば、その画力に比べ、ストーリーが単純すぎたり、テンポが悪かったりする印象があったのだが、『空の色ににている』では、完璧なまでに画、ストーリーともに読者の胸を打つ。

 現在ではすべての著作が絶版状態になっていて、入手も困難だが、ぜひ読んでほしい作品である。特に、主人公と同じ世代の人には一読をお薦めする。

■格闘王V/みね武&梶原一騎

初出:まんが王 1969年11月号~1971年6月号
    冒険王 1971年7月号~11月号
書誌:秋田サンデーコミックス(1巻)
    マンガショップシリーズ(全4巻)

 古いマンガ好きであれば、秋田サンデーコミックスのカタログなどで『格闘王V』の表紙を見た記憶があるだろう。
 Vサインを掲げる主人公、大東勝利が印象的な表紙イラストだ(連載中の扉絵でもある)。
 連載中にリアルタイムで読むこともなく、秋田サンデーコミックス版の単行本も未見だったので、マンガショップシリーズから完全収録された版でようやく読むことができたのだが、少し前に同じ原作者の『虹を呼ぶ拳』を読んでいたせいか、どことなく共通性を感じずにはいられない。
 主人公は沖縄空手の達人を父に持ち、自らも沖縄空手の神童と呼ばれ、その力でさらなる世界を目指すため、キックボクシング界に身を投じるというのが物語のスタートである。
『虹を呼ぶ拳』では、あくまでも空手を究めるためにキックボクシングの世界に入っていくエピソードが描かれたわけだか、『格闘王V』では、空手を捨ててキックボクシングの世界で頂点を目指していく。
 当時のスター沢村 忠やジムの社長目黒氏などが実名で登場しているのは、その他の梶原作品にも共通するが、レギュラーキャラクターとして活躍しているのは、評伝的な作品『キックの鬼』『キック魂』以外ではこの作品くらいかもしれない。
 また連載中に掲載誌の「まんが王」が休刊し、「冒険王」に移籍することで、主人公はキックボクシングからプロレスの世界に移り、ジャイアント馬場を目指して修行を始める。ここでも馬場が実名で、物語に深く関わってくるのだが、このあたり『タイガーマスク』を彷彿とさせる。
 梶原作品では、○○より強い、○○。最強は○○。といった感じで特定の競技が扱われ印象があるが、この『格闘王V』では、空手ではキックボクシングの頂点には立てない、キックボクシングを究めても、プロレスでは通じない、といった各競技特有のルールや戦い方があるということを主人公を通じて語っている。
 父と子の物語、友情に厚い先輩、一つを究め、次の目標に燃える主人公、70年代梶原作品のエッセンスがかなり詰め込まれた作品だったのではないかと思う。

 ただ残念なのは第2部「プロレス編」が半ばで終わってしまった感があること。これは『虹を呼ぶ拳』のラストもそうなのだが、当時の状況なのであろうか。物語としては終わらせてあるのだが、打ち切り感いっぱいのラストはちょっと寂しい。

本棚の旅■怪獣ラバン

書 名/怪獣ラバン
著者名/水木しげる
出版元/小学館クリエイティブ
判 型/四六版
定 価/1900円+税
シリーズ名/復刻名作漫画シリーズ(ただし本書にはこの表記はない)
初版発行日/2009年7月22日
収録作品/怪獣ラバン

 水木しげるに限らず、貸本漫画で活躍しのちに雑誌に移って行った作家たちは、貸本時代の作品を雑誌でリメイクしている。本書も『ないしょのはなし(墓場鬼太郎)』を経て『ゲゲゲの鬼太郎・大海獣』と2回リメイクされている。
 大まかな筋立ては同じだが、『大海獣』で鯨の祖先の血を輸血するところを、オリジナルである『怪獣ラバン』では、ゴジラの血を輸血することになっている。そう、つまりは映画『ゴジラ』から派生した作品のひとつだったというわけである。
 とはいえ「ゴジラ」自体はほとんど登場しない、まったくのオリジナルストーリーでなのだが、「ラバン」という名称がどこからでてくるのか、ちょっと唐突なところもある。また描き下ろしの単行本ということもあってストーリー展開は余裕があるのだが、最後に来て突然のハッピーエンドというのはいささかシラける。
 いずれにしろこれまで復刻されて来なかった作品なだけに、オリジナルの完全復刻というのはうれしい限りだ。今回の復刻では京極夏彦が原本を提供している。またオリジナル版は水木ではなく東真一郎名義で刊行され、内扉に制作・水木漫画プロという表記がなされている。
 

本棚の旅■怪奇猫娘/水木しげる

書 名/怪奇猫娘
著者名/水木しげる
出版元/小学館クリエイティブ
判 型/四六版
定 価/1900円+税
シリーズ名/復刻名作漫画シリーズ(ただし本書にはこの表記はない)
初版発行日/2008年11月30日
収録作品/怪奇猫娘

 水木しげるの作品に登場する猫娘といえば,『ゲゲゲの鬼太郎』、とくにアニメ版のキャラクターの印象が強い。実際水木原作版の『~鬼太郎』に猫娘が登場しているのは、貸本時代の『鬼太郎夜話』を別にすれば、かなりあとになってからのシリーズである。
 自分は本書『怪奇猫娘』の存在を知らなかったので、てっきり猫娘というキャラクターは『鬼太郎夜話』が初登場だと思っていた。『鬼太郎夜話』でも十分インパクトのある登場人物だったわけだが、本書ではさらにその生い立ちに踏み込んで描かれている、というのが感想である。ただしキャラクターとしての魅力はやはり『鬼太郎夜話』に登場する猫娘の方が上だろう。
 意外と救いのない話しでもある。
 本書もオリジナルは東真一郎名義で、内扉に制作・水木漫画プロの表記がされている。
 

■悪魔くん/水木しげる

初出:東考社(貸本)/全3巻
    少年マガジン
書誌:サラ文庫(二見書房)/全2巻「悪魔くん」
    朝日ソノラマ/全2巻「水木しげる貸本傑作選・悪魔くん」
    太田出版/「定本悪魔くん」
    ※以上「貸本」版収録単行本
    講談社コミックス/「悪魔くん」
    サンコミックス(朝日ソノラマ)/「悪魔くんの冒険」
    パワーコミックス(双葉社)/全2巻「がんばれ!悪魔くん」
    サンワイドコミックス(朝日ソノラマ)/「悪魔くん」
    ※以上「少年マガジン」版収録単行本
   
 貸本マンガの末期に刊行された、水木しげるの代表作のひとつ。代表作となったのは、テレビドラマ化されたことが大きいだろう。
 貸本版が刊行された当初は、貸本マンガが末期の時期であったこともあるが、売り上げが伸びず、結局当初予定していた完結まで描くことができなかったようである。
 結果的にテレビドラマ化されることになり、貸本版とはまったくちがう設定と内容で「少年マガジン」に連載が始まる。

 貸本版では、現代の救世主といったストーリーであったが、テレビドラマでは、悪魔メフィストの力で、妖怪退治をするという展開。「少年マガジン」版でもそのようなストーリーとなった。
 同じなのは、主人公の少年と、悪魔メフィストが登場することくらいか。

 水木はその後「少年ジャンプ」誌上で『悪魔くん千年王国』という、貸本版のリメイクの連載を行っている。また、その後『世紀末対戦』という貸本版の「その後」を描いた作品もある。

 特撮ドラマ『悪魔くん』は、東映の制作で、まだまだ特撮作品に慣れていないものの、さまざまな試みが見られる秀作で、現在の目で見ても楽しめる作品だ。エンディングには水木の原画も使われていた。
 またテレビアニメーションも制作され、放送に合わせて「コミックボンボン」に「少年マガジン」版と同様の設定で、新たに連載されたものがある。

  

■リリーフサッちゃん/関谷ひさし

初出:小学五年生(1965年1~3月号)、小学六年生(1965年4~66年3月号)
書誌:虫コミックス(全1巻)
    マンガショップシリーズ(全1巻)

 ふと入った古本屋の均一台に、カバーのないこの単行本が、ポンと乗っていた。裏表紙をめくると以前の所有者の名前が書かれていたりもするが、売値は60円。
 関谷ひさしは、自分がマンガを読み始めたころには、過去の作家という印象があった。理由は週刊マンガ誌で作品を発表していなかったからではないかと思う。
 イロイロなマンガを読んでいくうちに、虫コミックを手にしたり、サンコミックを手にしたりして、過去の作品が単行本になっているのは知っていたが、そのどれもがリアルタイムで読んだことのあるものではなかったし、単行本自体が書店の店頭に並んではいなかった。
 そんな関谷ひさしの作品をまっとうに読んだのは、光文社文庫の「『少年』傑作選」に再録された『ストップ!にいちゃん』だった。実に面白いと思ったし、この作品で関谷ひさしは小学館漫画賞を受賞している。しかし、この代表作である『ストップ!にいちゃん』も、虫コミックで刊行されて以降、サンコミックなどで再刊されたものの、全話の収録ではなかった。

 今回たまたま入手した『リリーフサッちゃん』だが、元気のいいサッちゃんという女の子が主人公。弟がふたりに妹がひとり、そしておじいちゃんという家族構成で、お母さんがわりに家事をこなしている。
 テンポもよく、絵もスマートで読みやすい。こういう作品が埋もれてしまっているのは本当に残念だ。

 と思っていたら「マンガショップ」で復刊された。また連載第一話を単行本初収録ということである。虫コミック版ではカットされた第一話からの流れを補うため、最初の1ページが描き下ろされていたようだ。
 虫コミック版では各エピソードにサブタイトルが付けられていたが、マンガショップ版ではそれはなくなっている。

■ライブマシーン/松森 正・狩撫麻礼

初出:アクションヒーロー/1983年6月号~1984年3月号
書誌:アクションコミックス(B6)/全2巻
                  (A5)/全2巻
     双葉文庫/全2巻
        小池書院・漫画スーパーワイド/全1巻

 松森 正のシャープな描線は、それ以前からのものだったが、この『ライブマシーン』でいっそう突き詰められた感がある。
 また初期の代表作『木曜日のリカ』以来、コレといったヒット作がなかった松森の再評価につながる作品として、『地球最期の日(関川夏央原作)』と共に位置するのではないだろうか。

 物語は、セロニアス・モンクに憧れる有山礼二が、音楽に挫折し、音楽から遠い場所、戦場で過ごした後、日本に戻って再びピアニストとしてクラブで演奏をしているところから始まる。
 ピアノのテクニックは研ぎ澄まされても、礼二の心の中ではなにかがもの足りない。そんなとき、傭兵仲間だった男に襲われ、身を守るために相手を倒したことで、音楽にも変化が現れる。
 そんなとき偶然であった「Q」と名乗る謎の雇われ、殺し屋になる礼二。
「Q」により、亜里沙という女性と出会い、ふたりは恋に落ちる。
 理由は明かさないまま「Q」の目的に沿って、指示された殺人を行っていく礼二に、殺される側の組織は、元過激派のリーダーをぶつけてくる。
 礼二の正体が暴かれ、さらに元過激派リーダーを洗脳する礼二。
「Q」の最終的な目的が明らかになるとき、壮大な復讐が終わり、礼二は殺人というモチーフの中で音楽に身をゆだねる。

 後に描かれた『湯けむりスナイパー』の源さんに、礼二の面影を見る読者も少なくないだろう。

■やけくそ天使/吾妻ひでお

初出:プレイコミック(秋田書店)
書誌:秋田漫画文庫/全5巻
    プレイコミックス・スペシャル/1~2巻(?)
    秋田文庫/全3巻

 吾妻ひでおについては『ふたりと5人』連載時から知ってはいて、永井 豪とならんでのエッチな漫画を描く作家という認識だったような気がする(柳沢きみおの『女だらけ』なども同時期だったような…)。
 とはいえそれ以上に気になる存在ではなかった吾妻ひでおに注目するキッカケとなったのは「マンガ少年」連載の『お楽しみはこれもなのじゃ(みなもと太郎)』だった。ダニエル・キースの『アルジャーノンに花束を』をテーマに萩尾望都などといっしょに『やけくそ天使』が取り上げられていて、それが実に面白い作品に思えたのだ。
 しかし、その当時は「プレイコミック」を手にするには抵抗のある年齢で、すぐには読むことができなかったのだが、程なくして秋田漫画文庫から単行本としてまとめられたので、すぐに入手。吾妻ひでおファンになっていくのである。
 お読みになられた方ならご承知の通り、『やけくそ天使』は阿素湖素子という淫乱な(笑)女性主人公が縦横無尽に暴れ回るコメディ作品である。ときには先述した『アルジャーノンに花束を』など、映画や小説をパロディにしていたりもする。
 この作品で、吾妻ひでおは完全に弾けた印象で、連載が進むに連れ内容も絵も冴え渡る。

 吾妻の代表作であるこの作品が、文庫以外のサイズで、完全な形で刊行されていなかったのはなんとも残念。『失踪日記』等で再び注目されているだけに、大きなサイズで復刊されることを期待してしまう。

■ミュータント伝/桑田次郎

初出:週刊少年マガジン
書誌:サンコミックス/全2巻
    マンガショップシリーズ/全1巻

 桑田次郎といえば『8マン』で知られる、硬質なタッチの漫画家である。デビューは10代の前半と早熟で、もともとペン画を勉強していたこともあり、画力もある。
 そんな桑田の作品にあって、あまり知られていないのが『ミュータント伝』ではなかろうか。
 自分も、そういうタイトルの単行本が出ていることは知っていたが、ずいぶん長い間、実物を見ることがなく、初めて読んだときの衝撃は大きかった。
 内容は、古代、猿人から突然変異で人類が生まれるというエピソード、未来で宇宙旅行から戻ったパイロットたちのあいだで謎の事件があこるというエピソード、そして人類の終末、というもの。
 特に第1部の古代編では、言語がない世界のため、吹き出しを一切使わず、すべてを絵で見せるという手法に取り組んでいて、「これが雑誌連載されていたのか」と驚いてしまった。

 最初の単行本であるサンコミックス版は早い段階で品切れしたまま再版される機会に恵まれず、ようやくマンガショップシリーズで復刻された。
 桑田作品では、スーパーヒーローものに人気が集まりがちだが、この『ミュータント伝』はぜひ読んでいただきたい作品である。

■まだらの卵/日野日出志

初出:少年アクション
書誌:ひばりコミックス
    ひばり文庫
    ジャンプ・スーパー・エース・コミックス

 日野日出志の作品と出会ったのは「少年アクション」の創刊から連載された『ショッキング劇場』というホラー短編シリーズだった。したがって、『まだらの卵』も初出で目にしている。
 当時すでに怪奇漫画(という言い方が主流だった)家として知られていたのだろうが、それまで作品に接する機会がなく、それまで知っていた楳図かずおや古賀新一といった作家とは違う怖さを感じた。
 周囲の友人のあいだでも話題になり、ひばり書房から『まだらの卵』を表題とする単行本が出ると、すぐに買ったものだ。
「少年アクション」では、短編シリーズから『恐怖列車』という長編の連載となり、ひばり書房からは『蔵六の奇病』『わたしの赤ちゃん』など次々と単行本が刊行されるなど、間違いなくこの時期、日野日出志はブレイクしていた。

 やがて映像作品でもホラー、特にスプラッター作品が話題になるようになり、日野日出志も請われてスプラッタービデオの監督などをしていたが、ある事件をキッカケにスプラッター作品が下火になると共に、日野の名も聞かれなくなってしまった。
 それでも彼のファンは多く、数年ごとに思い出したように作品が復刊されている。また作品を詳細に評した『日野日出志を読む(清水 正)』という本も刊行されている。

 日野日出志の代表作を挙げるとすれば『蔵六の奇病』や『紅い花』、『毒虫小僧』などがあるが、出会いのインパクトもあって、自分としては『まだらの卵』を含む『ショッキング劇場』シリーズを最初に紹介したくなるのである。

本棚の旅■マジンガーZ/永井 豪

書 名/マジンガーZ[起動編]
著者名/永井 豪
出版元/秋田書店 
判 型/B6判
定 価/571円+税
シリーズ名/AKITA TOP COMICS WIDE
初版発行日/2009年7月10日
収録作品/マジンガーZ

 テレビアニメ『真マジンガー衝撃Z編』の放送に合わせて原作コミックをコンビニ向け単行本として発行したもの。
 本作品は「少年ジャンプ」に連載された後、集英社のジャンプコミックス、朝日ソノラマのサンコミックス、講談社のKCコミックス、朝日ソノラマのサンワイドコミックス、講談社の講談社文庫コミック版などが刊行されているが、元判であるジャンプコミックと連載時の復刻である講談社文庫版以外はテレビアニメに合わせて、弓博士などが描き変えられている。今回の秋田書店版も、その描き変えられた版である。もっとも、サンコミックス、KCコミックスともに連載時とは収録順序が変わっていたので、描き変えられたものでの連載通りの収録はこれが初になるはずである。
 なのであるが、非常に残念なことに本書32ページは本来34ページになるはずで、33ページ、34ページはそれぞれ1ページずつ繰り上がっていなければならない。なぜこんな入れ違いが起きてしまっているのか理解に苦しむ。33ページが全面の断ち切り1枚画であることが理由なのかもしれないが、それにしても32ページに持ってこれないものではない。明らかな編集ミスといえるだろう。またところどころに挿入されたエピソードのサブタイトルも流れを無視した挿入のしかたで首をひねる。いくらコンビニ向けのお手軽単行本とはいえ、これではせっかくの名作も台無しではないか。

 

■マカロニほうれん荘/鴨川つばめ

初出:週刊少年チャンピオン
書誌:少年チャンピオンコミックス/全9巻
    愛蔵版/1~3巻
    秋田文庫/全3巻

『マカロニほうれん荘』が連載されていた当時は「少年ジャンプ」で『すすめ!パイレーツ(江口)』が連載されていたり、ギャグ漫画のニュー・ウェーブとして見られていたと思う。
 登場人物は、40歳のきんどーちゃん、25歳のとしぞう、そして16歳のそうじの高校生トリオ。もちろんきんどーちゃん、としぞうは落第しまくっている。
 高校に入学し「ほうれん荘」でひとり暮らしを始め、青春を謳歌しようとしていたそうじを待っていたのが、同じ高校に通い、同じ「ほうれん荘」に住むきんどーちゃんととしぞうの怪人物ふたり。すでに人間というにはさまざまな点で超越してしまっているとしぞうと、その上をいくきいどーちゃんに振り回されながらの高校生活が始まるのである。
 当時でも「懐かしい」特撮番組やアニメのネタを頻繁に持ち込んだりして、マニアというかヲタク心を刺激していた作品だ。
 当時の「少年チャンピオン」はこの『マカロニほうれん荘』のほか『ドカベン』『750ライダー』『ブラックジャック』などで、週刊漫画誌のトップを走っていた。
 しかしながらあまりに売れすぎてしまった反動なのか、連載終了後は、完全な形で復刊される機会もなく、作者の鴨川つばめ自身も、ペンネームを変えて活動するなど苦労していたようだ。

 時代の流れと共に笑いも変化して、ギャグ漫画は長く読むことが難しい種類のものかもしれないが、改めて、一世を風靡したこの作品を完全版として復刊してもらいたいと思う。続編の『マカロニ2』と共に。

■ベビーテック/桑田次郎

初出:日の丸(1959年9月号~61年7月号)
書誌:マンガショップシリーズ・全3巻
    アップルBOXクリエート・全4巻
   
『まぼろし探偵』『Xマン』『ガロロQ』と同時期に連載されていた作品。もうひとつの『まぼろし探偵』という味方もできるような内容だが、ベビーテックとなって活躍する健二少年の正体、というかなぜベビーテックになるのか、ベビーテックのメカなどの小道具は誰が作ったのかなどということは最後まで謎のままだった。
 エピソードも、最初の「夜の魔王」が案外あっけなく終わったので、続く「バット団」も長くはないのかと思ったら、ほぼこのバット団と団長の池袋博士がベビーテックの敵として出ずっぱりとなっていた。
 人気連載作品をほかにも抱えていたためか、明らかに桑田自身のものではない絵で描かれたページが、多いときで連載一回分くらい、何度か出てくる。あまり単行本には恵まれていなかった桑田とはいえ、そういうこともあって単行本化しなかったのではないかとも感じられてしまう。
 

■ブルーゾーン/石森章太郎(石ノ森章太郎)

初出:少年サンデー 1968年6号~29号
書誌:小学館ゴールデンコミックス 全2巻
    大都社スターコミックス 全2巻
    石ノ森章太郎萬画全集 全2巻

 石森プロダクションでアシスタントをするジュンは孤児院の出身だったが、18歳の誕生日を迎えた日、両親の遺産がある、と弁護士が訪ねてくる。
 両親がいたことさえ知らなかったジュンは、弁護士に連れられて生家に行くとじいやと称する老人から、父がブルーゾーンと名付けられた、この世界とは別次元の世界からの侵略に気づき戦っていたことを知らされる。
 そしてジュンも、ブルーゾーンとの戦いを始めるのだった…。
 ストーリーの出だしはこんな感じだ。作者が本人役で登場しているあたり、手塚の『バンパイヤ』を思い出させる。また主人公のジュンも石森の人気作品『ファンタジーワールド ジュン』からの登場である。資産家のただひとりの後継者とその家に仕える執事という構図は、『仮面ライダー』にも通じる。案外『バットマン』からのアイデアかもしれない。
 さてこの『ブルーゾーン』、いわゆる心霊現象を科学的な目で解きあかそうというのがテーマ。とはいえ、妖怪などが異次元の生物で、この世界を侵略しようとしているというのは石森お得意のパターンかもしれない。また、UFO、超能力といったものも扱われ、その後の石森作品につながっていくアイデアの数々がここに示されているようにも思う。
 残念なのはほとんどの謎が解明されないまま中途半端な形で終了してしまっていること。作品発表時ではちょっと早すぎたアイデアだったのかもしれない。

■バビル2世/横山光輝

初出:少年チャンピオン
書誌:少年チャンピオンコミックス/全12巻
    秋田コミック セレクト/全8巻
    秋田文庫/全8巻
    愛蔵版/全8巻
    秋田トップコミックス(コンビニ向け)/全14巻

 アニメ化もされた、横山光輝の代表作のひとつ。
 古代、地球にやって来た宇宙人は、宇宙船が故障して帰ることができなくなり、時の権力者を利用して「バベルの塔」を建造させ、宇宙に信号を送るつもりだったが、建設途中に事故があり、塔は崩壊。地球人として暮らすことを余儀なくされる。
 宇宙船のコンピュータを初めとした超科学の遺産を、自分と同じ能力を有した子孫に与えるよう、コンピュータにプログラムしてこの世を去る。
 時を隔て、主人公・浩一にその能力が目覚め「バビル2世」として、同じ能力を持つヨミと戦うことになるのだった。
 なんにでも変形可能な「ロデム」、巨鳥ロボット「ロプロス」、巨大ロボット「ポセイドン」の3つのしもべを従えて、果てしない戦いが始まる。

 超能力が巷でブームになる直前に描かれた作品としても知られる本作は、アニメ版の主題歌で「サイコキネシス」「テレパシー」といったESP用語を広めた功績もあるだろう。

 当初刊行された「チャンピオンコミックス」版では、完結エピソードが収録されないままになっていたが、「コミック セレクト」版で初収録。後を追うように、10巻刊行から数年の間を置いて11巻が刊行された。

『その名は101』は、『バビル2世』の続編。

■ナショナル・キッド/貴瀬川実・原作、一峰大二・画

初出:ぼくら(1960年7月号~1961年12月号)
書誌:講談社(全3巻)
    コミックペット(全2巻)
    アース出版(全3巻)
    マンガショップシリーズ(全3巻)

 この作品はテレビドラマのコミカライズ作品である。なので、当時テレビ作品を観ていた人の中には一峰大二・画のコミック版目当てに「ぼくら」を読んでいた人も多いだろう。残念ながらそのあとの世代である自分は、サン出版の「コミックペット」シリーズで復刻されるまで作品名は知っていたが読む機会はなかった。とはいえ「コミックペット」版は全2巻、1,2話のみの収録だった。その後アース出版から未収録部分を含めたハードカバーの全3巻が刊行され、マンガショップ版も同様の内容である。
 科学者の旗 竜作が無敵のヒーロー、ナショナル・キッドに変身して宇宙人や海底人から地球と人類を守るというのが基本的なストーリー。空を飛べたり壁をすり抜けたりする力を持っているが、敵を倒すのはエロルヤ光線という銃である。胸に大きく記されたNマークと作品タイトルでもあるナショナル・キッド」はテレビドラマの提供会社だったナショナル(現・パナソニック)に由来する。
 第1話「インカ族来襲」は、インカ帝国の人々が宇宙船で金星に移住していて、改めて地球を征服に来るというもので、「インカの遺跡に円盤のような絵が描かれている」といったエピソードなどもあって、これが石ノ森章太郎だったらまた面白くなったんじゃないかと思ってしまう。
 インカ族を指揮してナショナル・キッドに対抗するのが女性(らしい)というもの当時としてはユニークだったのではないかと思うが、一峰大二の画ではちょっと魅力に欠けるのが残念である。

■シングルピジョン/さべあのま

初出:迷宮、他
書誌:迷宮
    メディアファクトリー(文庫)版全集6「ライトブルーページ」

 さべあのまの作品を初めて読んだのは、みのり書房の「ペケ」だった。アールヌーヴォー調の絵柄が印象的で、直後くらいに神保町の書店で見つけたのが、迷宮から刊行された短編集『シングルピジョン』だった。ここに納められた作品は「迷宮」に発表されたものを中心にしていて、デビュー前夜の作品集といったものである。

 高校生から大学生くらいの感性にピッタリ合うような内容のものが多く、ちょうどそんな年齢だった自分もさべあのまファンになっていくのである。

『シングルピジョン』は当初カバー付きの装丁だったが、予想外に売れたのか、増刷され、カバーの付いていない版が多く流通した。

 正直言って、作家として成長するに従って、さべあ作品からは遠ざかってしまい、現在でも一番好きな作品集は『シングルピジョン』か、メジャーで出された最初の短編集『ライトブルーページ』である。
 読み返すと胸がチクリとする、そんな感傷的な印象が、さべあのまの初期作品にはあるのである。

■ザ・ムーン/ジョージ秋山

初出:週刊少年サンデー 1972年14号~73年18号
書誌:サンコミックス(全6巻)
    小学館文庫(全4巻)

 人によっては、この『ザ・ムーン』という作品を「トラウマ・コミック」と呼ぶ。それだけインパクトの強い作品だとはいうことだろう。
 ジョージ秋山はコメディやギャグ、ナンセンスといったジャンルの作品を多く描いていたが、『アシュラ』『銭ゲバ』といった社会派作品でより知られるようになり、作風も変わっていった。この『ザ・ムーン』はそれら社会派作品が発表されたあとに、再び少年向けを意識して描かれた作品ということになるのでだが、そのテーマはいたって重い。
 作品タイトルでもある「ザ・ムーン」は、巨大ロボットの名前である。魔魔男爵という人物が、巨額を投じて作ったこのロボットは、男爵によって選ばれた、普通の少年少女9人の脳波をキャッチして動く。
 とここまでは通常のロボット作品と大差が無いように感じられるだろうが、少年たちが与えられたロボットを、男爵はこう説明する。
「正義とはなにか。力こそ正義だ」
 少年たちのリーダー、サンスウ(少年たちの名前は、小学校の教科の名前にちなんでいる)は、男爵の言葉をすぐには理解できないが、同じように正義を目指しながらも、密かに水爆を所有し、それを日本のどこかに投下することで、恐怖によって人々を統一しようとする団体が現れることで、正義には力が必要だと悟り、水爆投下を阻止するべく、少年たちはザ・ムーンを動かす。
「正義と正義が戦って、血を流すこともあるのです」という男爵の言葉のとおり、ふたつの正義がぶつかり合う構図は、年少の読者には、あるいはわかりにくいかもしれない(もっとも、「連合正義軍」と名乗る団体の行動は明らかに冷酷ではある)。
 テロリズムを扱った、この最初のエピソードのほか、高齢化社会を扱ったエピソードなど、現在にも通じるテーマが描かれたこの作品は、まだまだ色あせてはいない。まだ読んだことがないという方にはぜひ一読していただきたいと思う。特にそのラストはじっくりと読んでいただきたい。

■コンドル・キング/武内つなよし

初出/ぼくら(1961年1月号~1962年12月号)
書誌/パンローリング・マンガショップシリーズ(全5巻)
      アップルBOXクリエート(全7巻、キング四番勝負・全2巻)

『少年ジェット』『赤胴鈴之助』の武内つなよしによる探偵ヒーロー漫画。トップ屋の西郷一平が謎のヒーロー「コンドル・キング」になって悪と闘うというのが基本的な物語。
 連載当初、読者に向けて明確に西郷=コンドル・キングという描写は登場していないし、キングの得意とするコンドルカードというトランプ状の武器についても取り立てて説明がないのは、作品が描かれた当時では珍しいことではなかったのだろうか。
 とはいえコンドル・キングというキャラクターは当時のほかのヒーローに比べちょっと大人の雰囲気を出していたのではないかと思える。粋なスーツ姿にカードを投げる戦法はスマートでかっこいい。
 第1部「怪物グロの巻」に登場する新生物グロ(ナメクジのようなものが集まって巨大にもなるし、人間などにも化けることができる)は、その後に描かれる『少年ジェット』に登場する生物の原型のようだ。
 第2部「怪人0博士の巻」になると巨大ロボットが登場。それに対抗して巨大ロボットを建造し、闘わせるというのはすでに人気になりつつ会った『鉄人28号』や『鉄腕アトム』の影響だろうか。当時は「ぼくら」を発行する講談社では「少年マガジン」で『13号発進せよ!」も連載されいたはずなので、ロボットの登場はある意味流行に乗っていたのかもしれない。
 第3部「キング4番勝負」ではドクロ・キングを名乗るカード使いが登場し、コンドル・キングとカードで対決するシーンがふんだんに描かれる。ある意味もっともこの作品のスタイルを活かしたストーリーだったのではないだろうか。またそれまで暗黙の了解的に西郷=キングという描き方だったのが、キングから西郷、西郷からキングへの変身(というより変装かな)シーンを描くことで読者にはハッキリとヒーローの正体を明かしている。またそのためなのか西郷でいるときにはちょっと間の抜けたキャラクターとして描いているようだ。ドクロ・キングの手下として同情するビート三兄弟のうち「サウンド大助」というキャラクターは『少年ジェット』のミラクルボイスのような技を使っていた。
 第4部「あくまのきば」連載の最後となるこのエピソードは前後編という短いもの。ストーリーもサブタイトルの妖しげな雰囲気を出しつつも、意外とまっとうなトリック、推理劇だった。途中、キングのコスチュームも刷新しようと試みたようで、カウボーイのような格好で現れるシーンがある。また最後の最後にキングが誰なのかという種明かしもされのだが、あまりのあっさり加減にちょっと肩すかしを食らう。
 「三角岳の怪物」1961年「ぼくら夏の増刊号付録・痛快漫画ブック」ケンタウルスのような獣人が登場する短編。人体改造によって人と獣を合成して怪物を作り出している博士を追ってキングたちが三角岳へと踏み込んでいく。人の体を腰から切断し、頭を落とした野犬の体に移植するというマッドサイエンティストが犯人なのだが、捕まり反省し、獣人化した人たちを元の姿に戻す(でも切断しちゃった下半身って残ってないんじゃないのかなあ、なんて疑問も…笑)。
 「きちがい博士」1961年「ぼくら増刊号付録」実は『三角岳の怪物』の犯人も「きちがい博士」を名乗っていた。今回登場する「きちがい博士」はまったくの別人で、自らが怪物のような頭部を持っていて、殺人を予告する。今回もおどろおどろしいタイトルやキャラクターに比べ内容はシンプルな推理もの。
 

■あんたが悪いっ/いがらしみきお

・初出:漫画サンデー 昭和57年1月~59年8月中旬
・書誌:マンサンコミックス 全3巻

 たぶん、いがらしみきおの作品はデビュー当時に読んでいる。「漫画エロジェニカ」に掲載されたものだったと思う(単行本『家宝』に収録されているがそこでは初出不明となっている)。とはいえそれ以後いがらく作品を読むということもないまま、いしいひさいち、植田まさしに続く4コマ作家として活躍しているのを眺めるといった感じだったと思う。なにかのひょうしで単行本を手にしてハマッたのだが、その時には『家宝』も刊行されていて、それまでのいがらしスタイルから休筆期間をへて『ぼのぼの』に移行していたのじゃなかったかと思う。
『ぼのぼの』は1、2巻あたりを読んだと思うが、あまり面白さを感じず、自分の中では「『ぼのぼの』以前」のいがらしみきおの方が気に入っている。
 その中でも『あんたが悪いっ』を取り上げたのは、まさお、伊予吉といったおなじみのキャラクターに加え田金という政治家のキャラクターが登場して当時の世相を反映したネタが豊富だからかもしれない。当時の政治家が登場していたりして、いまとなっては…というネタも確かにあるのだが、それは「古い」ということではなく、時代の記録として受け取ることもできる。また政治も社会状況も変わったはずなのに根本はまったく変わっていないと思わされるものもある。
 まさおと伊予吉はほかの連載や単行本に収録されたシリーズでもよく登場しているキャラクターであるが、この『あんたが悪いっ』シリーズにおいて輝いているというか、まさにシリーズの顔となっている。『ぼのぼの』以前のいがらしみきおをこれから読んでみたいと思う人がいるとしたら、この『あんたが悪いっ』をオススメしたい。

■キャプテンウルトラ/小畑しゅんじ

初出:週刊少年サンデー
書誌:曙出版/全2巻
   マンガショップシリーズ/全1巻

『キャプテンウルトラ』は、『ウルトラQ』『ウルトラマン』に次いで放送された、「ウルトラシリーズ」の実質的な第3弾作品である。
 宇宙を舞台に、バンデル星人やロボット怪獣などと戦うキャプテンウルトラと、キケロのジョー、ロボットのハックの活躍を描いたスペースオペラなのだが、当時は怪獣と巨大ヒーローの時代だったため、どうしても等身大で生身の人間であるキャプテンウルトラの存在は地味に見えてしまったようだ。むしろいまDVDなどで鑑賞した方が、その面白さがわかるような気がする。

 漫画版は、小畑しゅんじによって少年サンデーに連載された。登場人物などはテレビ版とほぼ変わりないが、テレビ版が先述したような状況から、バンデル星人編から怪獣ぞくぞく登場編へと路線を切り換えたの対して、小畑版は、バンデル星人のエピソードを貫く形となり、後半はオリジナルに近い。

 この作品もテレビ放送に合わせて、早い時期に単行本化されたものの、その後は30年に渡って入手困難になっていたが、マンガショップシリーズで復刊された。

■ガラス玉/岡田史子

初出:COM '68年
書誌:サンコミックス
   NTT出版版作品集
   飛鳥新社版作品集

『ガラス玉』は虫プロ商事の月刊誌「COM」に掲載され、新人賞を獲った代表作である。
 当時「COM」には「ぐら・こん」という、新人漫画家の登竜門的な投稿コーナーがあり、多くの漫画家を輩出していたが、この『ガラス玉』はその中でも漫画家を目指す人たちに影響を与えた作品だった。
 自分はリアルタイムで読んだわけではなく、かなりの年数が経ってから、古本で入手した「COM」で読んだのだが、それでも衝撃は大きかった。
 残念なことに、岡田史子の作品は単行本化される機会に恵まれず、初めて「サンコミックス」で『ガラス玉』が発行されるころには、すっかり「伝説の漫画家」となっていた。
 岡田史子の魅力は、ひと言で言ってその感性だ。
 ビジュアル面でも、ストーリー面でも、岡田の感性だからこそ、というのが正直な印象である。
 当時「COM」に掲載されていた作品から強引に例えてみるなら、石森章太郎の『ファンタジックワールド ジュン』のテクニックで、永島慎二の『フーテン』を描いたような感じだろうか。
 どこかノスタルジックで異国情緒が漂うこの作品。未読の方はぜひ読んでみて欲しい。

 
『岡田史子作品』全3冊
『岡田史子作品』全3冊
価格:5,000円(税込)
 

■冒険ガボテン島/久松文雄

初出:少年サンデー
書誌:虫コミックス/全2巻
   サンワイドコミックス/全2巻
   扶桑社文庫/全2巻
   マンガショップシリーズ/全2巻

『冒険ガボテン島』は遊園地の潜水艦に乗り込み、漂流して無人島にたどり着いた少年少女たちを描いたテレビアニメとして知られている。その漫画版は、キャラクター設定としても参加していた久松文雄が担当した。
 残念なことに、モノクロ作品が作られていた最後期に制作されたこともあって、再放送の機会に恵まれず、タイトルの知名度ほどには内容は知られていないような気がする。

 漫画版はアニメの放送もあって、早い時期に虫コミックスから単行本されたが、逆にそれ以降は長い間絶版状態で入手が困難になった。
 86年にサンワイドコミックスが刊行されたあとは、扶桑社文庫でも刊行(この時は、その後の登場人物たちを描いた短編も収録された)、現在はマンガショップシリーズで入手可能である。
 漂流ものというと『ロビンソン・クルーソー』や『十五少年漂流記』などを思い出すが、ゴリラや恐竜といった漫画らしいキャラクターも登場する『冒険ガボテン島』は、案外漂流ものの代表作といってもいいのかもしれない。

■エデンの戦士/真崎 守・田中光二

初出:少年チャンピオン
書誌:秋田漫画文庫(旧)/全2巻
   真崎 守作品集(ブロンズ社)/全2巻

 中学のころ、近くに住んでいた従姉妹が結婚し、その相手が本好きで、よく本を借りていた。その中に田中光二の『エデンの戦士』があり、この作品は原作を先に読んでいたのだった。
 正直言って、真崎 守のキャラクターは、原作のイメージとはあまり近くはなかったが、かといってイメージを損なうものでもなかった。
 真崎 守の作品を読んだのは、これが2作目だったと思う。最初は文庫化された『はみだし野郎の子守唄』の1巻だったと思う。これはその当時の年齢で読むには、早すぎたのか、よく分からなかったというのが正直な感想だ。
 その後間もなく『ジロがいく』『キバの紋章』などを立て続けに読む機会があり、真崎 守ファンになった。

『はみだし野郎の子守唄』『キバの紋章』『共犯幻想』などで知られる真崎 守、またそのファンにとって『エデンの戦士』はかなり異色の作品と言っていいだろう。だいたい真崎がSFを描くということ自体があまりないことだ。
 しかし、ある意味、真崎 守作品に入るキッカケとして、この作品はなかなかいい役割を演じてくれるのではないかという気がする。
 もっとも、いまでは入手が困難ではあるけれど。

本棚の旅■エスパー大旋風/小畑しゅんじ

書 名/エスパー大旋風
著者名/小畑しゅんじ
出版元/パンローリング
判 型/B6
定 価/1890円(税込み)
シリーズ名/マンガショップシリーズ
初版発行日/2006年12月2日
収録作品/エスパー大旋風(冒険王・1974年9月特大号付録)
     暗黒の野獣(別冊少年キング・1970年7月号)
     どくろの門(別冊少年キング・1970年12月号)
     
 本書はこれまで単行本未収録だった小畑しゅんじの短編を集めたものである。もともと小畑しゅんじという作家は、その作品数に比べて単行本化されたものが少なかった(『ネオマスク』『げたばき甲子園』など数える程度)。ことに読みきり掲載された短編を集めたものはこれまでなかったのではないだろうか。
・エスパー大旋風/野菜嫌いでひ弱な少年が、内に秘められた超能力に目覚める…というとオーソドックスなSFコミックを想像されるだろうが、その超能力が別の人格となって実体化しているのがユニークなところ。なんでもできる「もうひとりの自分」にまで頼りきってしまう主人公が、自力でがんばるという青春コミックといっていい。
・暗黒の野獣/足の悪い妹の手術代を稼ぐためプロレスラーとなった主人公は、その実力で連勝し人気も鰻登り。しかしその前に謎のレスラーが立ちはだかった。ゴーストの連具ネームを持つその男は盲目でありながら必殺の技を使い、主人公を倒し、さらに強豪レスラーをつぎつぎとリングに沈めていく。主人公は妹の言葉に諭され、ゴースト打倒のため特訓を開始するのだが…。70年といえば『タイガーマスク』などの時代だろうか。小畑らしいユニークな設定だが、世のスポコンブームをなぞった感も否めない。
・どくろの門/飛行機事故で首狩り族の村に不時着し、その後行方不明となった父親を探してマニの村へとやって来た兄妹。その村で見たものは…。秘境を舞台としたミステリアスな作品だが、もう少しストレートな展開にしてもよかったような気がする。

 全体に印刷が粗いのは元原稿ではなく印刷物からの復刻だろうか。その点少し残念ではあるが、発表から30年を経過して単行本にまとめられたのは、まず読者として喜ぶべきことかもしれない。

■ABCディ/貝塚ひろし

初出/まんが王・1968年1月号~8月号(秋田書店刊)
書誌/パンローリング・マンガショップシリーズ(全1巻)

 ABCの掛け声でヒーローに変身する貝塚ひろしのSF作品。
 ヒーローの乗り物に円盤を設定したのはこの時代としてはけっこう先駆けていたのではないだろうか。また地球空洞説、その空洞の中に地上の人類とは別の人類が、地上の人類よりも発達した科学文明を持っているなど、70年代にはいって多く描かれたSF漫画の設定もみられる。もっともその空洞世界やヒーローの力をなぜ地上の少年たちが与えられたのか、ということは詳しく触れられてはない。
 また空洞世界がリュウ王国、そこを治めているのがオート王女と、龍宮城、乙姫につなげているアイデアはなかなか面白い。このあたりをもっと掘り下げていたら、また違った展開もあったのでは、とちょっともったいない気もした。
 主人公は天文学の星島博士の子供、英二とその妹で静子、英二のクラスメイトのビー助の3人。それぞれA、B、Cに当てはめられたネーミングではあるが、なぜこの3人がヒーローとして選ばれたかということもあやふやなままだった。
 リュウ王国から3人のお守り役として犬が地上に派遣されてくるのだが、もうひとつ活躍がなかったのも惜しい。
 貝塚にはほかにも『1、2作戦』というヒーロー作品があるが、本作のABCといい、ちょっと勢いを感じるネーミングが好みなのかもしれない。
 

■G・Rナンバー5(修繕屋)/石ノ森章太郎

初出:パワァコミック(1974年12月13日号~1976年6月17日号)
書誌:パワァコミックス(双葉社刊)・全4巻
   石ノ森章太郎萬画大全集(角川書店刊)・全3巻

 掲載誌の「パワァコミック」はまったく見たことがないのでこの作品も単行本が出てから始めて知ったのだが、当時マンガ好きな兄がいるクラスメイトがしきりに『修繕屋』という作品のタイトルを口にしていたので気になってはいた。で、ようやく単行本でそれが『G・Rナンバー5』だということがわかったというようなコトである。
 主人公のアキラは事故で生死をさまよい、サイボーグとして命を取り留める。天涯孤独となったアキラはサイボーグ手術で自分を助けてくれたドクター猿丸(この博士も自分の脳をゴリラに移植している)の家で暮らすことになる。アキラといっしょに保護されたロリという少女は異次元から追われてこちらの世界に逃げてきたといい、ロリの住んでいた世界の科学者が次元の裂け目を自由に作る装置を開発し、こちらの世界を侵略しようとしているという。そこでドクター猿丸を中心に、侵略を阻止し,次元の裂け目を「修繕」するグループが作られる。つまりこれが第二部の連載タイトルにもなった「修繕屋」のゆえんである。ちなみに「G・R」は「グループ・リペア」の略。
 グループのメンバーはドクターにアキラ、テレパシーと変身能力のあるロリ、そしてドクターが作ったロボットのガラクタ、人造人間のヒューである。
 ヒューのキャラクターが『サイボーグ009』の004にそっくりでもあり、主人公がサイボーグということもあって、『~009』に似た印象が強いが、どちらかいえばアキラとヒューのコンビは『佐武と市』に近いような気もする。
 萬画大全集のガイド本の解説によると連載開始前に「『009』を」と依頼されたようで、作者がまだその気持ちにならなかったためこの作品ができたということらしい。その意味では『~009』に似た雰囲気なのは当然と言っていいだろう。確かこの時期はテレビアニメでも『~009』にキャラクターがそっくりな『氷河戦士ガイスラッガー』というものがあり、『~009』を望まれつつも作者の中でそれを受け入れられない状況があったのだろう。
 とはいえこの『G・Rナンバー5』の内容自体は『~009』というより『ブルーゾーン』に近い。
 異次元からの侵略、それは機械の核にエクトプラズマと呼ばれる不定形な物質がまとわりついて構成されたモンスターによってなされる。そしてこちらの世界で心霊現象と呼ばれるような状況になることが多い。これはまさに『ブルーゾーン』で描かれた世界観で、修繕屋が「超常現象研究所」を設立し全国から超常現象の情報を集めるところなども似ている。『ブルーゾーン』が未完で終わっていたのでそのアイデアを再び使いたいというのもあったのかもしれない。
 前半はそのように、異次元からの侵略に立ち向かう「修繕屋」の活躍が描かれるが、後半(連載第二部?)ではふたつの世界が融合してどちらの人間も絶滅の危機に陥った終末的な世界が描かれる。
 石ノ森作品のなかでも人気が高いというが、確かに自分も好きな作品である。
 

 
 

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