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2012年5月

本棚の旅■ザ・ゴリラ7/園田光慶(原作・江連 卓、曽田博久、流 和也、新井 光)

書 名/ザ・ゴリラ7
著者名/園田光慶(原作・江連 卓、曽田博久、流 和也、新井 光)
出版元/KKベストブック
判 型/新書判
定 価/各450円
シリーズ名/BigBirdComics
初版発行日/1巻・昭和50年7月10日、2巻・昭和50年8月20日
収録作品/1巻・PART1 明日なきジャガー、PART2 警察で罠をはれ、
     2巻・PARTⅠ 許せぬやつらに花束を、PARTⅡ 大泥棒弟子入り志願、PARTⅢ 軍用拳銃密売人

 本書『ザ・ゴリラ7』は、東映制作で当時NET系で放映されていたドラマのコミカライズ作品である。ドラマでは千葉真一が主演し、志保美悦子や歌手のにしきのあきらなどが共演していた。
 コミカライズ版の本書はドラマ放映に合わせて刊行されたもので、おそらく描き下ろしだろう。正直同じ園田の作品とも思われない画面構成で、描き込みも少ない。収録されたエピソードも放映されたサブタイトルと同じ物があり、原作としてクレジットされているのもその話数のシナリオライターである。放映中盤の16~18話を中心に取り上げていることからも、ドラマ放映に合わせた刊行ということがうかがえる。そのことからもコミック版の制作スケジュールもタイトなものだったのではないかと推測され、園田作品らしい描き込みもできなかったのかもしれない。残念ながらドラマの方は未見なのでどこまでドラマの雰囲気を再現しているかはわからないが、主役に当たる風見大介以外の「ゴリラ」のメンバーたちが活躍している点ではなかなか面白い作品に仕上がっているといっていいだろう。強いて言えば女性メンバーの活躍が少ないのが寂しいところではある。
 単行本はKKベストブック社「BigBirdComics」から全2巻で刊行されたほか、文庫版という記載がネットオークション上で確認できるが、実物は確認していない。園田作品の中ではレアなもののひとつであることには変わりないといえるだろう。

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■アイアン・マッスル/園田光慶

初出/東京トップ社(1964年~1965年・書き下ろし単行本)
   少年画報社・少年キング(1966年19号・読み切り)
書誌/東京トップ社(全3巻・貸本)
   朝日ソノラマ・サンコミックス(全1巻)
   パンローリング・マンガショップシリーズ(全1巻)

 園田光慶は1958年に貸本マンガでありかわ・栄一としてデビュー。当時貸本マンガを舞台に台頭し始めた「劇画」の描き手として人気を得たが、貸本自体の衰退もあり雑誌に活躍の舞台を移すと共に、1965年、園田光慶と改名。『あかつき戦闘隊』や『軍鶏』『戦国猿廻し』などの作品で知られる。また『アイアン・マッスル』『ターゲット』等の作品ではアクションシーンへのこだわりが評価され、同時代の劇画家やその予備軍に多大な影響を与えた、と言われている。

 本作『アイアン・マッスル』は園田の代表作のひとつであり、ファンの人気も高い。ペンネームをありかわ・栄一から園田光慶に変えた時期でもあり、初出の単行本では作者表記に混乱もある(3巻では「ありかわ・栄一改め園田光慶」と表記されている)。
 手塚治虫は漫画に映画の感覚を持ち込んだが、本作『アイアン・マッスル』はさらに映画的なスピード感のある演出と動きが追求されていると言っていいだろう。作品発表当時にはアクション映画(たとえば「無国籍映画」と言われたようなもの)が人気だったこともその背景にはあるだろう。
 手塚やその影響を受けた漫画家たちによってそれまでの漫画とは違うものが生み出されてきていたが、更に表現の限界を広げようとした動きが「劇画」にはあった。「それまでの漫画とは違うもの」という意味で「劇画」の名称を与えられたのだから、ジャンルとして別物という意気込みが作者たちにはあったはずである。ひとつはよりシリアスな内容、子ども向けではない内容といったテーマやストーリー面、もうひとつはより細かい描写でありリアルな画風が挙げられる。その延長線上にあって、本作に於ける園田のアクションシーンへのこだわりという物があったことは言うまでもない。
 貸本版ではアイアン・マッスルと名乗る人物の素性はハッキリとは言及されていないが、どうやら暗黒街では名の知れた人物であるらしい。このあたり佐藤まさあきの『影男』のような「貸本劇画のお約束」的な暗黙の了解があったと見ていいだろう。しかし「少年キング」の読みきり作品になると「ひみつ捜査官」という職業になっている。貸本劇画が一律に「悪書」とされていた時代を何となく感じてしまう設定変更に思えてしまう。
「マンガショップ」版ではその読み切りに加えて、貸本版の予告編も収録されているので、未読の方はぜひお読みいただきたい。

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■山河あり/河あきら

初出/集英社・別冊マーガレット(昭和53年8月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1981年8月30日初版発行/併録・マッチ箱とんとん、パパとママは恋してる)

 河あきらが太平洋戦争時代を舞台にひとりの女性の半生を描いた作品。すでに『いらかの波』も手がけていたころの作品であり、これまで紹介してきた河あきら作品とはかなり印象の違う作品といえる。もっとも、家庭や学校生活の中での閉塞感から逃れたいとあがく主人公を描いてきた河あきらにしてみれば、戦争という時代の中に生きる本作の主人公は、本質的な部分でそれまで描いてきた主人公たちの延長線上にいると言ってもいいだろう。
 作品自体は100ページの読みきり作品だが、テレビの連続ドラマのような時間の流れ、主人公の生きざまが描かれていて読みごたえがある。また戦争を、あるひとりの女性の視点から描いているという点でも注目していい作品といえるだろう。歴史として戦争を知っているものからすれば忘れがちな、その当時生きていた一般のひとりの女性の視点が見事に描かれている。この点では映画化、ドラマ化、舞台化されてもいいような作品といえるだろう。
 河あきらは初期の代表作から社会派の匂いを漂わせていたが、本作でもひとりの女性の半生を描きながら戦争の意味を問う作品に仕上げている。
 現在、河あきらのマーガレット時代の作品はなかなか気軽に読める状況にないのが残念だが、古書店などで見かけることがあれば迷わず手に取ってほしい。後悔はしないはずである。

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■あなたは笑うよ/河あきら

初出/集英社・別冊マーガレット(昭和52年1月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1978年4月20日初版発行/併録・夢の島の23万円、ちいさな島の仲間たち)

 これまで退屈な日常や窮屈な家庭から開放されようともがく若者を描いてきた河あきらが、年上の女性に恋する少年を描いた作品。
 この作品でも主人公の少年は、医者の父を持ち、自分の医院を継がせようと厳しく育てられていることに不満を抱いているが、それよりも年上の女性との恋愛だったり、少年が大人になっていく過程だったりと、これまで河あきらの作品では描かれなかった要素が強く打ち出されている。
 単に年上の女性と言ったが、実は少年の通う高校の体育の教師であり、先生と生徒の恋愛という、一種のタブーをテーマにしている作品でもある。もっとも主人公のふたりはかなりプラトニックな関係で、周囲の噂が先行して追い詰められていくというストーリーになっているのではあるが。
 70年代後半になると少女漫画にも性的な要素が取り入れられてきて、本作でもいわゆるベッドシーンは描かれていないが、主人公の少年が性体験を済ませたと想像させるシーンが登場している。この辺りのシーンも、それまでの河あきら作品から見ると踏み込んだ描き方といえるだろう。
 主人公やその周囲の仲間たちの純粋な思いが、周囲の偏見や思い込みによってゆがめられて広がっていく展開は、これまでの作品とも共通しているといえるし、ラストの切なさは河あきら作品らしいとも言える。主人公の相手に年上の女性を設定したことで、作品自体が、それまでのものよりひとつ大人になったような印象を受けるのはボクだけだろうか。

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■さびたナイフ/河あきら

初出/集英社・別冊マーガレット(昭和51年1月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1977年2月20日初版発行/併録・あしたは日曜日、おばあちゃんの大革命、アイ・アム奥さま)

『さびたナイフ』は、それまでの退屈な日常から抜け出そうと、不良と知り合ったことからさまざまな出来事に遭遇していく主人公を描いてきた河あきらの、ひとつの集大成とも言える作品だと思う。
 主人公はギリシア人を父に持つハーフの少女で、父は母国に帰ったまま連絡がなく、母も亡くなり親戚の家に身を置いている。そこにはひとつ年上の従兄弟がいるが、医者を目指して勉強している真面目な秀才で、主人公には近寄りがたい存在だった。しかし、その従兄弟が、勉強の合間に気休めとして書いていたノートを偶然見てしまったことから、そのイメージは大きく変わっていく。そこにはさまざまな犯罪を実行することのできる計画がびっしりと書き込まれていたのだった。
 従兄弟と同じ高校に通い、不良として評判のよくない主人公と同じ年の少年も、偶然主人公と知り合い、さらにふたりでいるときに出会った家出少年も巻き込んで、従兄弟の作った犯罪計画書に沿って、銀行から現金強奪を実行することになる。
 完璧だと思われた計画だったが、さまざまなほころびから身元が割れ、警察に追われることになる。4人は現金の隠し場所にした別荘に身を隠すことにしたのだが…。
 主人公を取り巻く3人の少年たちそれぞれの主人公への想いも見事に描かれ、サスペンスの要素と恋愛の要素がうまくかみ合っているのはもちろん、余韻の残るラストが本作の印象を強めている。

 たぶん、河あきらの作品を初めて読んだのは本作だったと思う。そして『木枯らし泣いた朝』『赤き血のしるし』と読み、河あきらのファンになっていった。
 70年代、少年マンガは長期連載、少女マンガは読み切りというものが多く、作品の密度で少女マンガに秀作が多くなっていたというのもあったのではないかと思う。また内容的にも文学的な作品が多かった印象も強い。もっとも、河あきらの一連の作品は、文学的というよりはテレビの2時間ドラマといった方が合っていたかもしれないが。
 

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■わすれな草/河あきら

初出/集英社・別冊マーガレット(昭和50年3月号、4月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1976年3月20日初版発行/併録・おみまいなあに?、5つのゆびの歌、鬼蛇山の謎)

 それまで1回読みきりの作品がほとんどだった河あきらの、前後編作品。基本的な流れはこれまで同様、家庭内に問題のある主人公が新たな出会いによって生きがいを見いだすというものだが、ここに幼いときに生き別れた兄という設定を加味することでさらに複雑な物語を構成している。
 主人公の少女が思いを寄せる男性は、これまで河あきら作品に登場してきたキャラクターには珍しい、家庭環境にも恵まれた青年だが、再会した兄は、家庭環境に問題があり不良と呼ばれていたりする。
 人との出会いが主人公なり、登場人物の生き方を大きく変えるというのはドラマ作りの基本ではあるが、河あきらの作品においてそれはドラスティックな変革をもたらすという点で読みごたえがある。しかしながら登場人物たちが置かれている環境がいずれの作品でも似てしまっているというのは否めないところで、家族間の不和や貧困など「あ、またそういうことなのね」という印象は各作品の冒頭で感じずにはいられない。もちろんだからといって作品そのものが陳腐であることではなく、主人公の思いや新しく見いだした生きがいに向かっていく姿勢は感動をともなって読者に訴えてくる。
 本作においては、生き別れの兄妹という、ドロドロさせようと思えばいくらでもできるはずの設定を、あえて抑えて描いている点で河あきららしさを感じずにいられない。もちろんそこには作品が発表された時代や媒体も影響しているとは思うが、すでに同時期には一条ゆかりや里中満智子がドロドロした内容の作品を発表していたことを考えれば、これは河あきらの個性だったと評価していいだろう。

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■赤き血のしるし/河あきら

初出/別冊マーガレット(昭和48年7月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1974年1月20日初版発行)

 主人公は昼間、工場で働きながら定時制高校に通う16歳になる少女。単身上京したため周囲に知り合いも友達もいない孤独な日々であり、教室の机の中に昼間部の生徒に向けて「友達が欲しい」と手紙を書く。そしてその手紙を読んだのが、隆という男子生徒で、ふたりは友達になるのだが、隆は評判の不良だった。
 河あきらの初期の代表作といってもいい本作は、その後描かれる河あきら作品に共通する設定が随所に見られる。とくに友達がなく孤独な日々を送る主人公の少女と、ちょっとワルな男子というのは定番といってもいい。
 わりと救いのない作品の多い河あきら作品の中にあって、希望の持てるラストであることも本作の特徴といってもいいかもしれない。
 登場人物たちの設定や主人公が巻き込まれる事件は作品発表当時には納得のいくものだったかもしれないが、現在の視点で見ると状況設定自体があり得ないものも多く、新しい読者にどこまで説得力があるか少々不安ではあるのだが、根底に流れるテーマや主人公の思いなどは不変なものであるので、機会があればぜひ読んでもらいたい作品である。
『赤き血のしるし』というタイトルにつながるシーンはいささか70年代的な感じもしないではないが、じっくりと味わってほしい場面ではある。
 ちなみにマーガレットコミックス版では、併録作品にビデュー作の『サチコの小犬』、ちょっと伝奇SF的な作品『ウルフガール「狼少女」サチ』などが収録されている。

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■木枯らし泣いた朝/河あきら

初出/集英社・別冊マーガレット(昭和48年11月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1974年7月20日/併録・さすらいジーンズ、つむじ風の日記、ありがとうエス)

 いわゆる上流階級の家ではあるけれど、両親は普段から口げんかが絶えず、母親もその影響で主人公の少女に口うるさいという家庭環境の中、高校の友人たちと喫茶店などに集まりおしゃべりをするのが、そのころの少女の楽しみになっていた。
 しかし友人たちも家庭環境その他の理由で主人公の少女につき合っていくのが難しくなり、ひとり街を歩いていると、公園のベンチでギターを弾いて唄っている少年に出会う。普段聴くこともないフォークソングを、暇つぶしと思いながら耳を傾ける少女だったが、少年に誘われフォークソングのイベントに出向いたり、彼の仲間たちと知り合うことで、それまでとは違った楽しみを見つけていく。
 しかし少年の身体は病魔に蝕まれていたのだった…。
 70年代には白血病など治療の難しい、主人公やその大事な人が死を目前にするドラマがけっこう作られたが、本作もそんなもののひとつと言っていいだろう。またそこにフォークソングや深夜ラジオという、当時の流行を取り込み、読者対象であるティーンに受け入れやすいストーリーを構成している。
 本作でも河あきらは退屈な日常から飛び出し、生きがいを見つける主人公を描いているわけだが、余命3カ月という限られた時間の中で精一杯生きる少年とそれを支える主人公が力強く描かれている点で、河あきらを代表する一作と言っていいだろう。

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■わたり鳥は北へ/河あきら

初出/別冊マーガレット(昭和49年・11月号)
書誌/集英社・マーガレットコミックス(1975年10月20日初版発行)

 河あきらといえば『いらかの波』が代表作となるだろうか。掲載誌の読者層に合わせて思春期の少女を主人公に、社会派的な内容の作品を多く描いていた作家という印象を持っている。とくに『いらかの波』以前の作品には読者の心をえぐるような内容のものが多く、中高生世代の人には読んでほしい作品が多い。
 ここで取り上げた『わたり鳥は北へ』という作品もそんなもののひとつで、救いのない作品といってしまえばそれまでだが、長く印象に残る作品であることは間違いない。
 教師の父、PTA役員の母、成績優秀な姉という家族の中で息苦しい生活を続けていた主人公の高校1年生のあさみは、偶然知り合った同世代の次郎によって、生活が変わるのではないかと感じ、次郎の誘いに乗って彼の故郷である岩手に行こうと決意する。しかし旅費のないふたりは、あさみの家族に狂言誘拐をしかけ現金を手に入れようとするのだが、あさみの父が警察に通報したことで、ふたりの逃避行が始まる。
 作品冒頭のあさみの生活や閉塞した状況に自分を重ねる読者もいるだろうし、逃避行中の冒険的な展開を楽しむ読者もいるだろう。しかし作者はリアルな状況も忘れておらず、ラストに向かってふたりを追い詰めていくのだ。さりげなく伏線を散りばめている点も作家としての力量を感じる。

 デビューは「別冊マーガレット」1969年4月号の『サチコの小犬』ということになっているが、それ以前に「COM」でも作品が入選している。
 現在では本作および河あきらの作品の多くは容易に読める状況ではないだろう。70年代後半の少女マンガの中でも異色をはなっていた河あきら作品が再び評価され、再刊されるような状況が来ることを願っている。

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