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2013年9月

本棚の旅■DAVID ディビッド/板橋しゅうほう

書 名/DAVID ディビッド(全2巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/東京三世社
判 型/A5判・ソフトカバー
定 価/690円(1、2巻共)
シリーズ名/マイコミックス
初版発行日/第1巻・1986年2月10日、第2巻・1987年8月5日
収録作品/第1巻・DAVID PART 1 ACT ONE~ACT SIX、第2巻・DAVID PART 2 STAGE 0~STAGE 2

 初出は東京三世社の「WHAT」。第1巻が第1部、第2巻が第2部という構成になっているが、残念なことに予定していた構想を全て描ききる前に連載が打ち切りとなったのか、最後はかなりはしょった形で完結している。いや、未完の印象が強い。
 第1巻の帯には「未来版切り裂きジャック」とか、第2巻の帯には「神の子創造計画」といった興味を引く言葉が記されているが、これは編集側のあおりにすぎず、正確に本作の内容を示しているとは言い難い。
 では本作はどういう内容だったのか…。
 時代は多数のスペースコロニーが存在する未来。そのひとつである「マルコポーロ」というコロニーが最初の舞台となる。そこに住む資産家の変わり者が、一冊の古書を入手する。それは4千年の知識を蓄えた、生きている本だった。その本の力を使って資産家は「神の子」を創造しようとする。「外見は美しく、心は醜悪」そんな女性を探して資産家は夜の街に出掛けていくので、「未来版切り裂きジャック」はここから発想されたあおりなのだろう。とはいえ連続して女性が襲われるといったことはなく、最初のひとりで条件以上の女性を資産家はゲットしてしまう。そして人工授精によって「神の子」を宿した女性は、自分の意思ではなく、胎児の本能でかつての仲間を殺し始める(このあたりを「切り裂きジャック」と判断してもよいが、無差別な連続殺人ではないし、「切り裂きジャック」とイメージを重ねるのはなかなか強引だ)。
 一方「マルコポーロ」に新任した刑事、ロメロも偶然から生きている本=アルハザード奇脳本と関わることになり、資産家を調べることになる。
 資産家も当初の目的と違った成長を見せる「神の子」を抹殺しようと動き出すが、胎児は母の身体を離れ、ロメロの恋人の胎内に入って地上に下りていく。第1部はここで終わっている。
 第2部は、それから6年が経過しており、地球は巨大な監獄となっていて、人類の大半はコロニーに移住している。誕生したディビッドは地上で「神の子」として教祖となっている。ロメロの弟アンソニーが新たな主人公として第2部に登場し、ディビッド抹殺のため地上に降りることになる。また政府はバニッシュボムで地上を浄化する計画を持っており、その起爆装置の起動もアンソニーが請け負うことになった。死んだと言われていたロメロもサイボーグ化していまだにディビッドを追っており、ついに兄弟の対面ともなるのだが…。
 というのが主なストーリー展開。
 単行本帯には「新境地」とも記されているが、サイボーグや超能力などそれまで板橋が好んで扱っていたテーマも多く、本作がとりわけ板橋作品で斬新だったという印象はない。むしろ板橋作品の集大成とも言えるような構成が用意されていたのではないかという気さえするのだが、そこに至る前に物語は終了してしまったようである。
 願わくば作者本人の手でリメイクし、完全な形を見せてほしいという気がしないでもない。

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本棚の旅■ペイルココーン/板橋しゅうほう

書 名/ペイルココーン
著者名/板橋しゅうほう
出版元/東京三世社
判 型/A5判ハードカバー
定 価/980円
シリーズ名/MY COMICS
初版発行日/1980年11月10日
収録作品/ペイルココーン

 板橋しゅうほう最初期作品にして代表作である『ペイルココーン』は、みのり書房の「月刊OUT」に77年5月号から78年11月号にわたって連載された(本書奥付のデータによるが、『大江戸編』は増刊の「ランデブーコミック」に掲載された)。
 アメコミを意識した画風は初出時には異色で、正直あまり興味を持てなかったのだが、中盤、コメディー色が強くなってから次回が楽しみになっていた。そう、わりとハードなSF作品として出発したはずだった本作は途中一変してSFコメディと言っていいほどのオモシロ作品になってしまう。アニメや特撮ネタが随所に登場するのも楽しみだった。
 結果的に1年半の連載期間となったものの、単行本は全1冊という分量だったのは、途中休載期間があったり、初期には掲載ページ数が少なかったためだろう。また単行本化に際して加筆され、ひとつのストーリー作品としてまとまったのはよかった。
 まぎれもなく板橋の代表作のはずなのだが、本書刊行後はソフトカバー版が刊行されただけで最刊行の機会が少ないのは少々残念ではある。リアルタイムで読んでいないとわかりづらいアニメ・特撮ネタが多いのは否めないところだが、板橋作品の原点という意味でも復刊してほしい作品のひとつではある。

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本棚の旅■凱羅/板橋しゅうほう

書 名/凱羅(全4巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/アスキー出版局
判 型/A5判
定 価/各980円
シリーズ名/ASCII COMIX
初版発行日/第一巻・1993年5月22日、第二巻・1993年5月22日、第三巻・1994年4月22日、第四巻・1994年12月22日
収録作品/凱羅

初出/双葉社「月刊スーパーアクション」1986年8月号~1987年9月号、アスキー出版局「ログアウト」第6号(1993年3月)、「月刊ログアウト」創刊号(1993年4月)~16号(1994年7月)

 本作品は『アイ・シティ』『Hey!ギャモン』に続いて双葉社の「月刊スーパーアクション」に連載されたものの、単行本2巻分までで中断、その後アスキー出版局の「ログアウト」で後半が連載されたという変則的な成立を見ている。
 前半部分では鬼が登場したり、オドロオドロしい雰囲気もかもし出していたが、後半になるとヒーローコミック然としたアクション作品になっていると言ってもかまわないと思うが、通読したときに前半と後半で違和感を感じるところまで絵柄やストーリー上の差はない。
 前半の主人公は、善鏡(ぜんきょう)という人物で、電子データを読み取ることが出来る特殊な能力をもっている。これまでもさまざまな作品で脳に直接電子データを送る状況を描いてきた板橋だが、ここでは機械的な補助を使わずに電子データを読み取るという「つつあるき」という能力を描いている。
 さて、物語の本筋だが「凱羅因子」というものによって、主人公のような特殊な能力を持ったり、怪物化することがわかるとともに、この「凱羅因子」が人類の進化に影響を与えているのではないかと考え、秘かに実験を繰り返している製薬会社のことを知り、主人公は「凱羅因子」の謎に迫っていくというもの。
 実は主人公もその実験によって生れたことがわかるとともに、同じように人の意識を残したまま超人的な能力を発揮する仲間が集まり、人類の進化を掛けて闘うことになっていくのだが、このあたりの展開は『アイ・シティ』、いや『ペイルココーン』以来の板橋のテーマとも言っていいだろう。
「凱羅因子」によって超能力を得たもの同士が闘う構図は、アメリカのSF小説シリーズ『ワイルドカード』を連想させるところもある。
 また、本作でも『DAVID』や『SLICK STAR』のように前半と後半では何年かが経っていて、主人公も善鏡から娘の梨久(りきゅう)に変わる。そういう部分でも板橋作品の集大成という印象もある作品だ。
 そして本作も現在新刊書店では入手が出来ない状況にある。読み出すと一気に読める面白い作品なので大変残念なことである。
 ちなみに、本作品は当初前半2巻が双葉社から刊行され、「ログアウト」で連載が再開されたのをきっかけにアスキー出版局から再刊行され、続けて後半2巻が刊行された。第2巻の巻頭カラーページは前巻の粗筋となっているが、双葉社版とアスキー出版局版では違うものになっていて、大きな変更はカバーイラスト、見返しとこの粗筋部分となっている。

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本棚の旅■Hey! ギャモン/板橋しゅうほう

書 名/Hey! ギャモン(全3巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/双葉社
判 型/B6判
定 価/各480円
シリーズ名/ACTION COMICS
初版発行日/第1巻・1985年11月28日、第2巻・1985年12月28日、第3巻・1985年9月28日(この第3巻の発行日は単純な誤植と思われる)
収録作品/Hey! ギャモン

 本作品は『アイ・シティ』終了後「月刊スーパーアクション」に連載されたもので、板橋作品としては異彩を放っていると言っていいだろう。
 主人公のギャモンはサイボーグマンであり、当初は機械化された肉体に関して不安や畏れも吐露していた。このあたり、板橋としては平井和正の『サイボーグブルース』を自分なりにやってみたかったのではないかと言う気がする。けれど中盤以降はアクション重視の痛快な作品へと展開していく。そのきっかけとなったのは、マンダリンという女性キャラの登場だろう。ビジュアル的にも、このマンダリンは他の板橋作品には登場しない(というか、登場しつつもあまり活躍しなかった)キャラといってよく、ギャモンの愛する毬花(まりはな)という女性キャラを押し退けて、後半はヒロインとして活躍している。個人的にもマンダリンあっての『Hey! ギャモン』という気がしていて、このキャラクターの登場がなかったらどうなっていただろうかと思ってしまう。
 ギャモンは元軍人だが(そこでサイボーグ手術を受けたという設定)、現在はトレジャーヒッティング、つまり宝探しを仕事にしている。T乱歩(とらんぷ)という相棒は予知能力などを持っていて頼りになる少年。ストーリーの基本はふたり(時には毬花が加わって3人)での宝探しである。
 時代設定はあいまいで、宇宙旅行が容易であり、地球人のほかにも知的な宇宙人と友好関係にある時代である(でも記憶媒体として登場しているのがフロッピーだったりもする。このあたりは85年当時の状況としていたしかたないのかもしれないが、すでにCDもあったわけだし、板橋としては脇が甘かった気がしないでもない。もっともフロッピー自体が大容量になっているようではあるが)。
 実を言うと、板橋作品の中ではこの『Hey! ギャモン』がもっとも好きな作品である。適度に肩の力が抜けているというか、楽しんで描いていたのではないかと思われる点もそうだが、やはりマンダリンというキャラクターが個人的にお気に入りというのが大きな理由かもしれない。
 単行本はアクションコミックスで全3巻でまとめられたあと、全2巻のDX版でも刊行された。
 最初の単行本のカバーではアニメ調の彩色が施されていて、『アイ・シティ』に続いてアニメ化も目論んでいたのではないかと想像してしまう。いや実際、アニメ化してほしい気もする作品ではある。

初出:双葉社「月刊スーパーアクション」1984年10月号~1986年6月号

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本棚の旅■アイ・シティ/板橋しゅうほう

書 名/アイ・シティ(全2巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/双葉社
判 型/B6判
定 価/各480円
シリーズ名/ACTION COMICS
初版発行日/第1巻・1984年3月14日、第2巻・1985年1月14日
収録作品/第1巻 ACT-1~7、第2巻 ACT-8~15

 本作は板橋しゅうほうの代表作。なにしろアニメ化されて劇場公開されているのだから。とはいえそのアニメ版は見逃してしまっていて、残念ではある。監督が真下耕一とのことで、見てみたい作品のひとつだ。

『シルベター』や『DAVID』など、作品完結後もストーリーは続いているという終わり方は板橋作品の特徴とも言えて、本作でもそのラストでは作品内の物語は終わってはいない。ただ他の作品に比べてすっきりと読み終われるのは、もともとの構想がここまでだったからなのかもしれない(他の作品には「もっと描きたかったのに…」という思いがにじんでいる印象が強い)。
 時代設定は1983年の夏。これは連載開始の時期でもある。気がつけば30年も昔の作品になるわけだ。しかし、その内容は古さを感じさせないし、なによりも設定上、この年代設定が時間の経過をいとわないものになっているので初めて読むという方も意識しないで読んでいただきたい。というのは、この1983年が、舞台そのものの名称ともなっているのだ。つまり、主人公たちのいるのが「フロア1983」と呼ばれる場所なのだ。
 本作の魅力のひとつは、主人公を始めヘッドメーターズと呼ばれる疑似超能力者の存在にある。能力を使うときに額にその能力レベルが表示されるために「ヘッドメーターズ」と呼ばれるのだが、このアイデアはなかなかいい。
 ストーリーは、ヘッドメーターズとしてはその能力が極端に小さい主人公・Kが、自分の娘だというアイを連れてヘッドメーターズの組織から逃亡しているところから始まる。
 その途中、警察官のライデンと出会い、Kの異性クローン・K2たちの攻撃をかいくぐりながら逃亡を続けるのだが、しだいにその行動は人類の存亡をかけた闘いに発展していく。
 アイはヘッドメーターズではないが、Kたちヘッドメーターズに触れることでその能力を引き出す力があったり、なにやら神秘的な少女なのだが、実はこの闘いの行方を左右する存在でもある。
 ストーリー的にもキャラクター的にも、板橋の代表作として十分な仕上がりになっているのは確かだ。

 ところで、本作に関しては以前、アニメ化の際に刊行されたB5判雑誌サイズの「特別版」を取り上げたことがある。この特別版はトレーシングペーパーのカバーにキャラクター(アニメ版)、本体表紙に背景(板橋版の敵キャラ)というアニメ的な装丁になっていたのだが、オリジナル版であるB6版の本書も、第2巻の表紙イラストに描かれたアイの彩色がアニメを意識したものになっていたことを改めて確認した。
 大変残念なことに、現在新刊書店で本作品を購入することはできないようだ。板橋の代表作であると共に、SFコミックとしても名作である本作であるから、再刊行の機会があってほしい。

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