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2015年4月

本棚の旅■わたしは萌/立原あゆみ

書 名/わたしは萌
著者名/立原あゆみ
出版元/集英社
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/セブンティーンコミックス
初版発行日/1978年1月10日
収録作品/わたしは萌、よみびとしらず、かわいそうなぞう、カナリヤは歌わない、うみどり、冒険時代

初出:わたしは萌/集英社「月刊セブンティーン」1975年7月号、よみびとしらず/集英社「月刊セブンティーン」1976年2月号、かわいそうなぞう/集英社「週刊セブンティーン」1976年9号、カナリヤは歌わない/集英社「月刊セブンティーン」1976年6月号、うみどり/集英社「月刊セブンティーン」1976年10月号、冒険時代/集英社「月刊セブンティーン」1977年1月号

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「セブンティーンコミックス」から刊行された立原あゆみの単行本2冊目。本書にも切ない物語が収録されている。
 とはいえ愛を描くばかりではなく、死や罪と向き合う人物が描かれているところは、それまでの作品とは違っているかもしれない。恋愛ストーリーからより広い人間ドラマを扱うようになったという印象だ。
 また短編という特性を活かしてラストで読者の胸をぐっとつかむ演出も多い。さらに、全体的に画面構成もコマ割りをしない1ページや見開きを多用するようになっていて、少女漫画的な演出が目立ってもいる。
 中でも印象に残るのが表題作でもある『わたしは萌』だ。端的にいうと娼婦モノであり、ソフトな描写とはいえベッドシーンもあるので、75年当時の少女漫画誌にこの作品が掲載され、それを読んだ読者の反応はどうだったのだろうかと気になる。またそのラストシーンもなかなかに胸を締めつけるようなものだった。
 本書が発行された時期は『ふたりの回転木馬』とほぼ同時で、このころから立原の評価が高まっていったと思える。
 もっともシリアスな印象の初期の作品に比べ、コメディ調の作品が多くなっていくのもこの頃、70年代終わりごろからでもあった。

本棚の旅■ふたりの回転木馬/立原あゆみ

書 名/ふたりの回転木馬
著者名/立原あゆみ
出版元/小学館
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/フラワーコミックス
初版発行日/昭和53年1月20日
収録作品/ふたりの回転木馬

初出:小学館「JOTOMO」1976年2月号~

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 現在では少年誌・青年誌を中心に活躍し、任侠作品で知られている立原あゆみだが、70年代後半から80年代初頭にかけては少女漫画家として活躍していた。
 その代表的な作品がこの『ふたりの回転木馬』で、初出後「プチコミック」で総集編が編まれたあと本書の刊行、あまり時間の経たないうちに主婦の友社からもハードカバーで刊行されていた。
 一口に言うと同棲モノ(中盤でふたりは結婚するけれど)で、初出誌の「JOTOMO」は「女学生の友」としてスタートした雑誌で「少女コミック」よりもお姉さん的な性格を持っていたが、主人公の妊娠など内容的には背伸びした雰囲気の作品だった。
 個人的には初出時に読んだわけではなく「プチコミック」の総集編で初めて目にしたのだが、絵柄も内容も気に入り、単行本も発行されるとすぐに手に入れた。

 まゆみという女性のような名前の少女漫画家とそのファンの美絵というふたりの主人公。まゆみは美絵を主人公に『ふたりの回転木馬』という作品を描き始める。微妙に現実と創作が交錯するところもこの作品の魅力だろう。
 ぼろアパートでパンの耳をかじりながら、それでも幸せな生活をするふたりという、70年代的な作品だと思うがそれゆえに漫画史に残しておきたい作品のひとつだといえる。
 単行本一冊、4章から構成される作品で一気に読めてしまうが、主人公ふたりの愛の物語の内容は濃く、切ないラストシーンは読後感をさらに印象的なものとして記憶に残るだろう。
 まだ読んだことがないという方は、ぜひ機会を見つけて読んでいただきたい作品だ。

本棚の旅■いけない草の町子/立原あゆみ

書 名/いけない草の町子
著者名/立原あゆみ
出版元/集英社
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/セブンティーンコミックス
初版発行日/1976年7月10日
収録作品/いけない草の町子、赤ちゃんの神話、夏立ちぬ、ウェディング・イブ、微笑

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初出:いけない草の町子/集英社「週刊セブンティーン」1976年36号~40号、赤ちゃんの神話/集英社「月刊セブンティーン」1975年10月号、夏立ちぬ/集英社「週刊セブンティーン」1975年24号、ウェディング・イブ/集英社「週刊セブンティーン」1975年48号、微笑/集英社「月刊セブンティーン」1975年12月号

 本書は立原あゆみの最初の単行本、のはずである。
 75年から77年にかけて、立原は「セブンティーン」の常連作家であったらしく、本書収録の作品のほか、単行本『わたしは萌』にその辺りの作品がまとめられている。
「セブンティーン」はそのタイトルが表しているように17歳前後の少女読者を対象にしていたはずだが、実際のところ20歳前後の読者に向けたと思われる作品が多い印象が強かった。立原の作品もそういうイメージを強くするかのように、ちょっと胸が痛くなるようなストーリーを多く描いていた。
 立原はあすなひろしの影響を受けていたというが、本書に収録された作品の扉ページなどを見るとそれは納得させられる。また内田善美にも通じる雰囲気もあり、あすなひろしから内田善美へと連なる少女漫画の一流派という見方も出来そうな気がしてくる。

 収録された作品はすべて愛がテーマだ。いわれのない差別や偏見などを扱っているエピソードもあるが(『いけない草の町子』では主人公の母がストリッパーであることから転向した学校で「不潔」と仲間外れにされたり、『ウェディング・イブ』では水商売をしていた過去を現在の恋人に知られたら、関係が終わると恐れる主人公が描かれる)、それも主人公の愛を強調するためのもの。言ってしまえばドロドロな恋愛ストーリーだったりするのだが、こういった作品をコンスタントに描く作家が案外少なかったのかもしれない。
 さすがに時代を感じずにはいられないところではあるが、登場人物たちのピュアな恋愛感情というのは、時代が変わっても不変なものだろう。なかなか入手の難しいものかもしれないが、機会があればぜひご一読を。

本棚の旅■ありがとう涙クン!/塩森恵子

書 名/ありがとう涙クン!
著者名/塩森恵子
出版元/集英社
判 型/新書判
定 価/340円
シリーズ名/マーガレットコミックス(MC 275)
初版発行日/1977年3月20日(所持しているのは1979年7月15日発行の5刷)
収録作品/ありがとう涙クン!、リスボン いま秋、31日・水曜日

初出:ありがとう涙クン!/集英社「週刊マーガレット」昭和51年14号~18号、リスボン いま秋/集英社「週刊マーガレット」昭和51年41号、31日・水曜日/集英社「週刊マーガレット」昭和51年5号

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 塩森恵子は『希林館通り』や「アフロディーテ」シリーズなどで知られると思うが、1974年に「週刊マーガレット」の『雪…雪…雪』でデビュー。以後「週マ」で活躍したあと「ヤングユー」などの大人向け漫画誌に移籍。2010年からは同人でBL作品も手がけている、ようだ。
 正直な話し「マーガレット」系の作品、作家はあまり読んでいなくて、塩森恵子の作品もこの『ありがとう涙クン!』しか読んでいない。さらに言えば、収録されているデビュー4作目の『31日・水曜日』が読みたかったために単行本を購入したにすぎなかったりする。塩森の作品リストを見ると、表題作の『ありがとう涙クン!』の前に『31日・水曜日』、後に『リスボン いま秋』が発表されたようだ。
 ちなみに『ありがとう涙クン!』は、塩森の初連載作品となる。

『ありがとう涙クン!』は、卒業を控えた高校生の話で、早々に私立大への進学が決まっている3人の男子が、卒業式に「ロミオとジュリエット」を上演するとこになるというもの。その台本を書くことになったのが泣き虫の主人公なのだが…。現役高校生にもかかわらず飲酒シーンがあるなど、現在の基準ではパスしないところもある。また全体としてどこか散漫な感じがして、初の連載作品ということで構成力に課題を残した印象だ。というのも、収録されたほかの2編の短編がよくできているので、よけいそう思えてしまう。
『リスボン いま秋』は、日本人の大学生が旅先で知り合った少女との一週間の出来事を描いた作品。少女は某国の国立バレエ団のバレリーナで、講演で各国に出向いても観光することもできない窮屈な生活から、ひとりで抜け出し、主人公に出会う。自由を知らない、恋を知らない少女との触れないの中で、主人公は少女をバレエ団に帰したくないと思うのだが…。
『31日・水曜日』は、大みそかの午前5時から元旦の日の出までを描いた作品で、東京・山手線沿線で主人公が出会う人々と主人公の心の揺れを描いている。24時間のあいだに出会うさまざまな人々を通して、大学生の主人公が感じた「生きる」という意味は発表から40年近くが経った今でも古くなってはいない。

 収録された3作は、どれもある種の期限がついているという共通性がある。『ありがとう涙クン!』では卒業式まで(約2か月)、『リスボン いま秋』ではバレエ団の帰国する土曜まで(一週間)、『31日・水曜日』は大みそかの1日という感じだ。たまたまなのだろうが、3作に共通していることで塩森の得意とするところなのかなと思ってしまう。

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