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本棚の旅■わたしは萌/立原あゆみ

書 名/わたしは萌
著者名/立原あゆみ
出版元/集英社
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/セブンティーンコミックス
初版発行日/1978年1月10日
収録作品/わたしは萌、よみびとしらず、かわいそうなぞう、カナリヤは歌わない、うみどり、冒険時代

初出:わたしは萌/集英社「月刊セブンティーン」1975年7月号、よみびとしらず/集英社「月刊セブンティーン」1976年2月号、かわいそうなぞう/集英社「週刊セブンティーン」1976年9号、カナリヤは歌わない/集英社「月刊セブンティーン」1976年6月号、うみどり/集英社「月刊セブンティーン」1976年10月号、冒険時代/集英社「月刊セブンティーン」1977年1月号

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「セブンティーンコミックス」から刊行された立原あゆみの単行本2冊目。本書にも切ない物語が収録されている。
 とはいえ愛を描くばかりではなく、死や罪と向き合う人物が描かれているところは、それまでの作品とは違っているかもしれない。恋愛ストーリーからより広い人間ドラマを扱うようになったという印象だ。
 また短編という特性を活かしてラストで読者の胸をぐっとつかむ演出も多い。さらに、全体的に画面構成もコマ割りをしない1ページや見開きを多用するようになっていて、少女漫画的な演出が目立ってもいる。
 中でも印象に残るのが表題作でもある『わたしは萌』だ。端的にいうと娼婦モノであり、ソフトな描写とはいえベッドシーンもあるので、75年当時の少女漫画誌にこの作品が掲載され、それを読んだ読者の反応はどうだったのだろうかと気になる。またそのラストシーンもなかなかに胸を締めつけるようなものだった。
 本書が発行された時期は『ふたりの回転木馬』とほぼ同時で、このころから立原の評価が高まっていったと思える。
 もっともシリアスな印象の初期の作品に比べ、コメディ調の作品が多くなっていくのもこの頃、70年代終わりごろからでもあった。

本棚の旅■ふたりの回転木馬/立原あゆみ

書 名/ふたりの回転木馬
著者名/立原あゆみ
出版元/小学館
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/フラワーコミックス
初版発行日/昭和53年1月20日
収録作品/ふたりの回転木馬

初出:小学館「JOTOMO」1976年2月号~

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 現在では少年誌・青年誌を中心に活躍し、任侠作品で知られている立原あゆみだが、70年代後半から80年代初頭にかけては少女漫画家として活躍していた。
 その代表的な作品がこの『ふたりの回転木馬』で、初出後「プチコミック」で総集編が編まれたあと本書の刊行、あまり時間の経たないうちに主婦の友社からもハードカバーで刊行されていた。
 一口に言うと同棲モノ(中盤でふたりは結婚するけれど)で、初出誌の「JOTOMO」は「女学生の友」としてスタートした雑誌で「少女コミック」よりもお姉さん的な性格を持っていたが、主人公の妊娠など内容的には背伸びした雰囲気の作品だった。
 個人的には初出時に読んだわけではなく「プチコミック」の総集編で初めて目にしたのだが、絵柄も内容も気に入り、単行本も発行されるとすぐに手に入れた。

 まゆみという女性のような名前の少女漫画家とそのファンの美絵というふたりの主人公。まゆみは美絵を主人公に『ふたりの回転木馬』という作品を描き始める。微妙に現実と創作が交錯するところもこの作品の魅力だろう。
 ぼろアパートでパンの耳をかじりながら、それでも幸せな生活をするふたりという、70年代的な作品だと思うがそれゆえに漫画史に残しておきたい作品のひとつだといえる。
 単行本一冊、4章から構成される作品で一気に読めてしまうが、主人公ふたりの愛の物語の内容は濃く、切ないラストシーンは読後感をさらに印象的なものとして記憶に残るだろう。
 まだ読んだことがないという方は、ぜひ機会を見つけて読んでいただきたい作品だ。

本棚の旅■いけない草の町子/立原あゆみ

書 名/いけない草の町子
著者名/立原あゆみ
出版元/集英社
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/セブンティーンコミックス
初版発行日/1976年7月10日
収録作品/いけない草の町子、赤ちゃんの神話、夏立ちぬ、ウェディング・イブ、微笑

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初出:いけない草の町子/集英社「週刊セブンティーン」1976年36号~40号、赤ちゃんの神話/集英社「月刊セブンティーン」1975年10月号、夏立ちぬ/集英社「週刊セブンティーン」1975年24号、ウェディング・イブ/集英社「週刊セブンティーン」1975年48号、微笑/集英社「月刊セブンティーン」1975年12月号

 本書は立原あゆみの最初の単行本、のはずである。
 75年から77年にかけて、立原は「セブンティーン」の常連作家であったらしく、本書収録の作品のほか、単行本『わたしは萌』にその辺りの作品がまとめられている。
「セブンティーン」はそのタイトルが表しているように17歳前後の少女読者を対象にしていたはずだが、実際のところ20歳前後の読者に向けたと思われる作品が多い印象が強かった。立原の作品もそういうイメージを強くするかのように、ちょっと胸が痛くなるようなストーリーを多く描いていた。
 立原はあすなひろしの影響を受けていたというが、本書に収録された作品の扉ページなどを見るとそれは納得させられる。また内田善美にも通じる雰囲気もあり、あすなひろしから内田善美へと連なる少女漫画の一流派という見方も出来そうな気がしてくる。

 収録された作品はすべて愛がテーマだ。いわれのない差別や偏見などを扱っているエピソードもあるが(『いけない草の町子』では主人公の母がストリッパーであることから転向した学校で「不潔」と仲間外れにされたり、『ウェディング・イブ』では水商売をしていた過去を現在の恋人に知られたら、関係が終わると恐れる主人公が描かれる)、それも主人公の愛を強調するためのもの。言ってしまえばドロドロな恋愛ストーリーだったりするのだが、こういった作品をコンスタントに描く作家が案外少なかったのかもしれない。
 さすがに時代を感じずにはいられないところではあるが、登場人物たちのピュアな恋愛感情というのは、時代が変わっても不変なものだろう。なかなか入手の難しいものかもしれないが、機会があればぜひご一読を。

本棚の旅■ありがとう涙クン!/塩森恵子

書 名/ありがとう涙クン!
著者名/塩森恵子
出版元/集英社
判 型/新書判
定 価/340円
シリーズ名/マーガレットコミックス(MC 275)
初版発行日/1977年3月20日(所持しているのは1979年7月15日発行の5刷)
収録作品/ありがとう涙クン!、リスボン いま秋、31日・水曜日

初出:ありがとう涙クン!/集英社「週刊マーガレット」昭和51年14号~18号、リスボン いま秋/集英社「週刊マーガレット」昭和51年41号、31日・水曜日/集英社「週刊マーガレット」昭和51年5号

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 塩森恵子は『希林館通り』や「アフロディーテ」シリーズなどで知られると思うが、1974年に「週刊マーガレット」の『雪…雪…雪』でデビュー。以後「週マ」で活躍したあと「ヤングユー」などの大人向け漫画誌に移籍。2010年からは同人でBL作品も手がけている、ようだ。
 正直な話し「マーガレット」系の作品、作家はあまり読んでいなくて、塩森恵子の作品もこの『ありがとう涙クン!』しか読んでいない。さらに言えば、収録されているデビュー4作目の『31日・水曜日』が読みたかったために単行本を購入したにすぎなかったりする。塩森の作品リストを見ると、表題作の『ありがとう涙クン!』の前に『31日・水曜日』、後に『リスボン いま秋』が発表されたようだ。
 ちなみに『ありがとう涙クン!』は、塩森の初連載作品となる。

『ありがとう涙クン!』は、卒業を控えた高校生の話で、早々に私立大への進学が決まっている3人の男子が、卒業式に「ロミオとジュリエット」を上演するとこになるというもの。その台本を書くことになったのが泣き虫の主人公なのだが…。現役高校生にもかかわらず飲酒シーンがあるなど、現在の基準ではパスしないところもある。また全体としてどこか散漫な感じがして、初の連載作品ということで構成力に課題を残した印象だ。というのも、収録されたほかの2編の短編がよくできているので、よけいそう思えてしまう。
『リスボン いま秋』は、日本人の大学生が旅先で知り合った少女との一週間の出来事を描いた作品。少女は某国の国立バレエ団のバレリーナで、講演で各国に出向いても観光することもできない窮屈な生活から、ひとりで抜け出し、主人公に出会う。自由を知らない、恋を知らない少女との触れないの中で、主人公は少女をバレエ団に帰したくないと思うのだが…。
『31日・水曜日』は、大みそかの午前5時から元旦の日の出までを描いた作品で、東京・山手線沿線で主人公が出会う人々と主人公の心の揺れを描いている。24時間のあいだに出会うさまざまな人々を通して、大学生の主人公が感じた「生きる」という意味は発表から40年近くが経った今でも古くなってはいない。

 収録された3作は、どれもある種の期限がついているという共通性がある。『ありがとう涙クン!』では卒業式まで(約2か月)、『リスボン いま秋』ではバレエ団の帰国する土曜まで(一週間)、『31日・水曜日』は大みそかの1日という感じだ。たまたまなのだろうが、3作に共通していることで塩森の得意とするところなのかなと思ってしまう。

本棚の旅■まんが集/横山光輝

本棚の旅■まんが集/横山光輝

書 名/まんが集
著者名/横山光輝
出版元/ソフトガレージ
判 型/A5判
定 価/4200円
シリーズ名/なし
初版発行日/1999年8月5日
収録作品/ジャイアント・ロボ(第二部)、魔法使いサリー、宇宙船レッドシャーク、コメットさん、バビル2世外伝、13番惑星、鉄人28号

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 本書は、横山光輝の作家生活45周年を記念して刊行された横山の代表作を集めた一冊である。
 なかでも注目されたのは、刊行当時まだ公式には1度も単行本化されていなかった『ジャイアント・ロボ』を、第二部のみではあったけれど収録したことだった(カバーや本体表紙も『ジャイアント・ロボ』が使われている)。ほかにも刊行当時にはほかの単行本に収録されていなかった『宇宙船レッドシャーク』の第1話や『コメットさん』、短編(『13番惑星』)など横山作品の中でも未単行本化作品や入手困難な作品を中心に収録していた。現在では収録作品のいずれもが他社から単行本化されたり短編集に収録されたりしたので、本書でのみ読めるというものはなくなってしまったが、A5判サイズで読めるということを考えれば、横山ファンであれば手に入れておきたい一冊だろう。とはいえ総ページ数872ページというのは読むのにも手がつかれるボリュームで、下手に大きくページを開けば背が割れるというリスクもあり、書棚に飾っておくのが最適というコレクターアイテムでもある。
 それにしても収録された作品は絶妙だったといえる。見単行本化作品を中心にセレクトしたのだろうが、結果的にロボット物、宇宙物、少女漫画と横山作品の代表的なジャンルを収録している。あえていえば時代物がひとつも収録されていないのが残念というところか。

本棚の旅■セブンブリッジ/板橋しゅうほう

書 名/セブンブリッジ(全7巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/潮出版社
判 型/B6判
定 価/1~5巻・500円,6、7巻・520円
シリーズ名/希望コミックス
初版発行日/第1巻・昭和61年10月1日、第2巻・昭和62年3月20日、第3巻・昭和61年10月1日、第4巻・昭和63年6月10日、第5巻・昭和63年12月20日、第6巻・平成1年1月10日、第7巻・平成2年4月27日
収録作品/セブンブリッジ

 全7巻というのは、板橋作品中最長であり、板橋の代表作のひとつとしてプロフィールにも記載されるのだが、本作品を読んだという方はどれだけいるだろうか?
 主人公の夏子は、7つの平行世界を統べる水晶界の女王オクスタン・リュンカであり、「ロダンの手帳」に記された言葉を唱えることで「セブン・ブリッジ」に命令することが出来る。
 水晶界は核王のクーデターによって女王不在となり、恐怖が支配する世界となっている。核王は地球に逃れた夏子を抹殺し、7つの平行世界を支配しようとしているのだった。
 その尖兵、うさぎ頭のカニンガムが夏子の居所を突き止め、本のようにバラバラになって襲いかかるブックマンを使って攻めてきた!
 夏子はセブン・ブリッジの力によって平行世界へと逃れ、冒険の旅が始まるのだった。
 と、ここまでがストーリー序盤の設定。しかしクライマックス近くになると、核王と夏子は人類の進化の可能性であり、その勝者が人類の進化を示すという…あれ、こんな展開ほかの板橋作品で読まなかったっけ? 板橋さん、また? またなんですか? という展開に(笑)。
 しか~し、作品のラストに至るとそんな設定すらも吹っ飛ばす最強のエンディングが!
 夢オチ。
 いやいや、夢オチをどのように納得できるように展開するかということが本作品のテーマだったのだろうとボクは思いますよ、ホント。
 まあ、大まかなストーリーやラストはともかく、登場する平行世界のユニークさや板橋の描写力は本作品の魅力であり、その世界に浸ることが本作品を楽しむひとつの手段でもある。とにかく、これでもかというくらいに異世界を描き出す板橋しゅうほうに頭が下がる。まだ読んだことがないという方はぜひご一読を。

初出:潮出版社「コミックトム」

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本棚の旅■GROUND MAKER/板橋しゅうほう

書 名/GROUND MAKER
著者名/板橋しゅうほう
出版元/集英社・創美社
判 型/A5判
定 価/800円
シリーズ名/JUNP SUPER ACE
初版発行日/1992年3月15日
収録作品/Lip9000、GROUND MAKER、MENTAL METAL、育毛剤、CARAVAN THE BERSERKERS、TURTLE SHELTER、コイン・ワンダーランド、WAR'S WARS、FREEDOM、ラッキールートへランナウェイ、ブラストマック3/5

 本書は、第21回手塚賞準入選作『ラッキールートへランナウェイ』を収録した新書判(ジャンプスーパーコミックス)「ラッキールートへランナウェイ」に、本書刊行当時の最新作3編(巻頭から3作にあたる)を追加収録したもの。結果的に80年代初期と80年代末の作品を比べて読むことができる作品集といえる。
 板橋しゅうほうは長編(連載)作品が多く、短編集は本書と『エイリアンクラッシュ』の2冊程度しか刊行されていないので、板橋の短編作品が読める本書は貴重といってもいい。
 80年代初期は意図的に『ペイルココーン』のキャラクターを使用することが多かったようで、本書収録の作品でも『CARAVAN THE BERSERKERS』『コイン・ワンダーランド』で、火野やジアーラ、クリフォードといったキャラクターが登場している。
 収録された全ての作品がSFテイストで、板橋お得意のコメディタッチのものも多い。これはデビュー当初から変わらない板橋作品の特徴と言ってもいいだろう。
 手塚賞準入選の『ラッキールートへランナウェイ』はSFコメディといえる作品で、本質的なところで板橋作品であることに変わりはないのだが、コマ割りや演出面で異質感を禁じ得ない。この作品で「ウルトラQ」の『地底超特急西へ』を連想してしまうのはボクだけだろうか。

・初出一覧

Lip9000/集英社「スーパージャンプ」1988年No5
GROUND MAKER/徳間書店「SFアドベンチャー」1989年2月号
MENTAL METAL/徳間書店「SFアドベンチャー」1989年4月号
育毛剤/東京三世社「SFマンガ競作大全集」1983年PART21
CARAVAN THE BERSERKERS/東京三世社「SFマンガ競作大全集」1982年PART13
TURTLE SHELTER/単行本「ラッキールートへランナウェイ」1984年
コイン・ワンダーランド/東京三世社「SFマンガ競作大全集」1981年PART9
WAR'S WARS/東京三世社「SFマンガ競作大全集」1983年PART17
FREEDOM/東京三世社「SFマンガ競作大全集」1980年PART7
ラッキールートへランナウェイ/集英社「週刊少年ジャンプ」1981年27号(第21回手塚賞準入選)
ブラストマック3/5/集英社「少年ジャンプ」1982年1月10日号

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本棚の旅■エイリアンクラッシュ/板橋しゅうほう

書 名/エイリアンクラッシュ
著者名/板橋しゅうほう
出版元/潮出版
判 型/B6判
定 価/500円
シリーズ名/希望コミックス 122
初版発行日/昭和59年12月1日
収録作品/ブロークンハート、エイリアンクラッシュ、THE 狼奴、アマゾンハウス、ブラッディバベル、ランニング

 板橋しゅうほうの、80年代前半の短編作品集。初出は以下の通り。
 
・ブロークンハート/1981年11月号
・エイリアンクラッシュ/1892年8月号
・THE 狼奴/1983年1、2月号
・アマゾンハウス/1984年10月号
・ブラッディバベル/1983年12月号
 以上、潮出版「コミックトム」掲載
・ランニング/1983年2月13日号
 双葉社「アクション増刊」掲載

 代表作のひとつである『アイシティ』の第1巻が84年前半に刊行されているので、その前後の期間に描かれた作品ともいえる。
 表題作の『エイリアンクラッシュ』は、新しいゲームをテーマにした作品で、仮想空間内で現実のような体験ができるという、その後の映画などでよく扱われる世界が描かれている。サイバーパンクSFといってもいいだろう。登場するキャラクターたちは『ペイルココーン』に登場したものに似ており、手塚治虫的スターシステムを板橋が採用していた感もある。その意味では『ブロークンハート』の主人公「ライデン」はそのまま『アイシティ』に出演したといえるだろう。
 ほぼ発表順に収録しているので、板橋の短編に於ける技量の進化も読み取ることができるのも本書の特徴。『ブロークンハート』は主人公のモノローグによる説明が多く、少々読みづらいところがある。そういったものがだんだんこなれていき、『ブラッディバベル』ではすっきりとした読みきり短編が出来上がっている。
 板橋は、潮出版の「コミックトム」や双葉社の「スーパーアクション」を主な発表媒体にしていたところは、星野之宣や諸星大二郎とも共通していたが、そのふたりと違って熱狂的なファンがいない印象があるのは少々寂しい気がする。
 作画面の技量や選ぶテーマ、ストーリー自体は十分漫画ファンやSFファンに支持されるものがあるはずなので、板橋のファンも少なくないと思うのだが…。
 本書も現在は絶版状態で気軽に入手できる状況ではないので、ファンによる復刻支援などがあるといいと思う。

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本棚の旅■シルベスター/板橋しゅうほう

書 名/シルベスター
著者名/板橋しゅうほう
出版元/大都社
判 型/A5判
定 価/950円
シリーズ名/なし
初版発行日/1991年10月10日
収録作品/シルベスター(第1話~第8話)

 本作は少年画報社の「YOUNG KING」に1989年10号~17号に連載され、単行本化の際、加筆されている。
 ひと言で言うと、板橋しゅうほうの新しいヒーローコミックであり、金属生命体シルベスターと融合した「男爵(バロン)」と呼ばれる主人公が活躍する物語だ。
 ビジュアル的には『ペイルココーン』以来のアメコミ的な描写が目立つが、単にアメコミの模倣ということではなく、板橋流の表現を模索していたのだと思う。ただ、ここではまだその完成には至っておらず、「アメコミ風」という印象になってしまっていたのではないだろうか。
 ヒーローコミックと表現したが、その理由のひとつには主人公がここぞというときに技を出す際「レッツユナイト(結合)」という掛け声が設定されていることでも、その意図が読み取れる。ただ、結果的にこれを効果的に表現できていたかというと、消化不良に終わってしまったようで残念ではある。また、格闘ゲームや格闘コミックの影響を受けてか拳法使いのキャラクターも登場してアクションシーンを派手に盛り上げているが、これも少々中途半端な印象を残してしまったようである。
 本作も『DAVID』と同じように当初の構想を完全に描ききる前に終了してしまった感があるのだが、同じような終わり方をしていてもすっきりと完結している作品は数多くあるので、これは板橋しゅうほうの演出のまずさと言っていいのかもしれない。作品は終わっても、作品の中の物語は終わっていないという「余韻」を残したかったのかもしれないが、どうにも消化不良な印象になってしまっているのが残念だ。
 板橋作品のなかでも「こんなのもあったんだ」という印象の薄い作品になると思うのだが、シンプルな設定でアクションシーンを楽しめるヒーローコミックではあるので、機会があったらぜひお読みいただきたい。

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本棚の旅■SLICK STAR スリック・スター/板橋しゅうほう

書 名/SLICK STAR スリック・スター(全4巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/潮出版
判 型/A5判
定 価/1、2巻・900円、3巻・950円、4巻・990円
シリーズ名/希望コミックス
初版発行日/1巻・平成4年2月25日、2巻・平成4年12月25日、3巻・平成6年5月25日、4巻・平成6年12月10日
収録作品/SLICK STAR スリック・スター

初出:潮出版「月刊コミックトム」1990年6月号~1994年2月号

 22世紀、地球の衛星軌道上にいくつか存在するスペースコロニーのひとつ「マイダス」に住む錬児クゥォーターマンは、相棒のホスゲンとふたりで賞金稼ぎをしていた。賞金稼ぎといっても警察の下請け仕事で、半ば探偵のような仕事。ストーリーの途中で探偵事務所を開設している。
 アトキンス警部から依頼された人物を追ううちに、錬児たちは大きな事件に巻き込まれていく。それはシュドメックという人物が開発していた、人間の脳に直接アクセスできるインターフェイスで、人体にその装置を埋め込んだ者を「サイクス」と呼ぶ。
 読み始めて感じたのは「なんか、読んだことがあるような気がする」という感覚だった。そう、同じ板橋作品である『DAVID』に似ているのだ。単行本第1巻はシュドメックが企んでいたインターフェイスを使った計画に関するエピソードなのだが、これは全体のストーリーにプロローグとなっている。というか、サイクスという存在がこの作品の重要な要素となるので、まずはその説明に費やしたといってもいい。第2巻後半から始まる錬児の素性に関する秘密と、ある大企業が企む地球と人類に関する最悪の計画は『DAVID』で描けなかった後半部分ではなかったのだろうかと思える。
 単行本のカバーに描かれたのはレオナスというサイクスで、シュドメックの右腕であり、錬児の仇敵なのだが、その素性にも秘密があり、この作品のヒロインとして活躍することになる。もっともシャオリンという女刑事が錬児の憧れの女性として登場してくるのだが、その存在感はフェードアウトしていく。
 舞台は第4巻から地球に移る。このあたりも『DAVID』と同じで、ストーリー上の時間が一気に半年跳ぶというのも似ている。
『DAVID』では結末をナレーションで説明して終わらせていたが、本作品ではきちんとしたラストを用意している。もっともちょっと長めのナレーションが入るのは板橋作品の特徴とも言えるので、これは個性ということにしておこう。
 コミック原作の映画やアニメが多いいま、本作が連載されていたら、間違いなく映像化されていたのではないかと思う。いや、連載時期はちょっと古くなるとはいえ、今でも十分に魅力のある作品なので映像化されてもおかしくないのではないかと思う。

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